就職や転職を考える求職者に対して、自社の魅力・強みを直接伝えることができる「会社説明会」。
説明会参加者に強い印象を残し、応募意欲を高めるためには、プレゼン時に使用する資料の作成にも力を入れることが重要になってきます。
本記事では、効果的な会社説明会資料の作り方や掲載すべき情報、プレゼンのコツについて詳しく解説します。
最近増えている「オンライン説明会」における資料作成のポイントについても触れているので、ぜひ資料作成時の参考にしてください。
会社説明会資料とは
まずは、会社説明会に使う資料とはどんなものか、その目的や役割について説明します。
わざわざ時間をかけて資料を準備することの重要性やメリットについても、あわせて見ていきましょう。
会社説明会資料の役割とは?
採用活動で使用する会社説明会資料は、自社について詳しい情報発信を行う「会社説明会」の場において、参加者に企業の概要や文化、働く環境などを伝える役割をもちます。
一般的には「パワーポイント」などによるスライド形式で作成し、テキストのほか、必要に応じて図・画像・イラストなども入れ込みながら、メリハリをつけて見やすく仕上げます。
完成させたスライドは、プレゼンターによるプレゼンの内容を補完するために、プレゼンの進行に合わせて参加者に見せながら使用します。
視覚的に自社の特徴・魅力を訴えかけることで参加者の興味を引き、企業への関心を高め、理解を深めてもらうことを目的とします。
会社説明会資料はなぜ重要?メリット・効果とは
会社説明会の資料を活用すると、以下のようなメリット・効果が得られます。
- 参加者の関心を引き自社に対する興味を高められる
- 一貫性のある情報提供ができる
- リマインド効果が期待できる
それぞれについて具体的に解説します。
参加者の関心を引き自社に対する興味を高められる
企業の情報を体系的にまとめた会社説明会資料は、自社の事業やビジョン・ミッション、価値観、組織構造、成長戦略などをわかりやすく提供するツールとして役立ちます。
テキストはもちろん、グラフや図表、写真などもあわせて掲載すれば、情報をより鮮明かつ印象的に伝えることができます。
視覚的に魅力的な資料を用いることで、言葉だけでは伝えにくい・伝わりにくい情報も効果的に伝えられることがメリットの一つです。
説明会の参加者にとっては、プレゼン内容を耳から聞くことに加え目からも情報を得ることで、企業に関する理解が深まり、興味を持つきっかけとなります。
一貫性のある情報提供ができる
会社説明会用の資料は、プレゼンターにとっての重要なサポートツールにもなります。
資料を用意しておけば、事前に考えたストーリー構成に沿って話を進めやすく、また各要素の重要ポイントが一目でわかるため、メリハリをつけた説明をしやすくなるでしょう。
また、いったん資料を作っておけば、複数回の会社説明会で一貫性のある情報提供が可能です。
たとえば他のプレゼンターが説明を行う場合でも、自社の採用コンセプトや重要なポイントからズレることなく、正しい情報を伝えることができます。
リマインド効果が期待できる
説明会資料は、プレゼンの場での参加者の企業理解を深めるのに役立つだけでなく、後日に改めて内容を振り返るうえでも効果的です。
参加者に資料を渡せば何度でも見返すことができるため、帰宅後しばらく時間が経ってからでも改めて企業情報を確認し、自身の意思決定に役立てることができます。
自社への関心を持ち続けてもらうためのツールとしても、説明会資料は活用できるといえます。
会社説明会資料に掲載すべき項目
【前提】求職者が知りたいと思う情報は必ず入れ込む
会社説明会資料を作成するにあたって、まず大事にしたいのが、多くの求職者が「知りたい!ほしい!」と考える情報を入れ込むことです。
企業側が伝えたいことは山ほど出てくるものですが、一方通行になっては意味がありません。
「どんな情報を伝えれば求職者に響くか?」の視点を忘れないように考えていきましょう。
なお、株式会社マイナビが2023年卒の大学生・大学院生を対象に行った調査によると、「個別企業セミナーで聞きたかった内容」の回答割合は以下のようになっています。
- 具体的な仕事内容:50.9%
- 社風・社内の雰囲気:38.7%
- 入社後のキャリアモデル:34.9%
- 企業が求める能力・人材像:34.0%
- 採用スケジュール:31.8%
- 入社後の待遇:28.3%
- 若手社員の話:25.4%
- 社長・経営者の話:9.4%
上記の調査結果からも見てとれますが、「仕事内容」や「社風・社内の雰囲気」は、多くの求職者が具体的に知りたいと考えるポイントです。
そのため、説明会資料においても、自社にはどんな職場の環境があり、どんな仕事に挑戦できるかといったことを、求職者がしっかりとイメージできるように伝えましょう。
また、働き続ける中でどのように成長していけるか、キャリアアップの道筋・モデルケースを示すことも重要なポイントとなります。
説明会資料の必須項目
一般的には、以下の内容を説明会資料の必須項目として盛り込むとよいでしょう。
- 会社概要(歴史・沿革・組織構成など)
- 企業理念
- 事業内容
- 仕事内容
- 求める人物像
- キャリアモデル
- 社風・企業文化
- 福利厚生・待遇・各種制度
- 募集要項・選考フロー
- メッセージ(社員の声など)
メッセージについては、経営者自らが発信することで価値観・思いを伝えるのもよいですが、求職者としては「現場で働く社員の声」に、より強い興味を抱くケースが多いです。
なかでも年齢が近い若手社員の活躍する様子を積極的に届けることで、より印象深く、働くイメージがわきやすい説明会資料になるでしょう。
効果的な会社説明会資料を作るためのポイント
ここからは、会社説明会資料を作る際のポイントを説明します。
説明会資料では、正しい情報を伝えることはもちろんですが、「わかりやすさ」や「印象に残る内容にすること」が大事です。
プレゼン効果を高める資料を作るために、以下の点に気をつけてみてください。
- 情報を詰め込み過ぎない
- 図やイラストを効果的に使う
- ストーリーを意識した構成にする
- 参加者が理解できる言葉を使う
- 社内でフィードバックをもらって改善する
各ポイントについて詳しく説明していきます。
情報を詰め込み過ぎない
説明会などのプレゼンに使用する資料は、基本的に「1スライド1メッセージ」を心がけましょう。
各スライドには1つの主要メッセージに焦点を当てて、情報を明確かつわかりやすく伝えます。
情報が多くなり過ぎると見る人・聞く人の理解を妨げ、伝えたいポイントが埋もれてしまうおそれがあります。
クリアでシンプルなメッセージを心がけることが大事です。
図やイラストを効果的に使う
資料には、テキストだけでなく、図やイラストを積極的に取り入れましょう。
複雑で抽象的な話が続くと、見ている側は、自分の頭の中で具体的なイメージを描けずに退屈してしまいます。
たとえば、仕事のプロセスやキャリアステップといった話題は、グラフや図などで見せることで視覚的に理解しやすくなり、抽象的な話題も詳しくイメージしやすくなります。
すべて文字で埋めるのではなく、なるべくグラフィカルな表現を意識することがポイントです。
ストーリーを意識した構成にする
会社説明会資料では、事実を淡々と記載するのではなく、ストーリーを意識した構成・内容にするのがおすすめです。
資料を見ながら話を聞き進めるうちに、「この会社に入るとこんなに成長できる」「素晴らしい仲間と一緒にやりがいをもって働ける」といったように、求職者が自然と前向きな気持ちになれるような流れをつくることが重要です。
そして、まずは会社の概要紹介などマクロな視点から始め、全体像を示した後に詳細な要素(詳しい仕事内容の紹介や選考情報など)へと進むことで、求職者は全体の流れを理解しやすくなります。
その中で、単なる事実だけでなく、会社の雰囲気や文化を伝える話題も積極的に組み込んでいきましょう。
参加者が理解できる言葉を使う
求職者向けの会社説明会資料では、難しい言葉の使用はできるだけ避け、わかりやすい言葉でコミュニケーションを図るように心がけましょう。
とくに、業界特有の用語や自社独自の言葉は普段の癖でつい使ってしまいがちなため、注意したいポイントです。
社内の人間以外が目にしたときにスッと理解できる資料にすることで、説明会に参加する求職者にとってもストレスなく情報を吸収でき、理解がさらに深まります。
社内でフィードバックをもらって改善する
資料の効果を高めるためには、社内の関係者からフィードバックを積極的に収集し、改善を重ねることが大事です。
採用チームはもちろん、できれば他の部署の社員など、さまざまな視点からの意見を取り入れ、より洗練された資料を目指しましょう。
多くのフィードバックを受けておくことで、プレゼンの準備段階で潜在的な問題を発見しやすくなるというメリットも実感できるはずです。
オンライン説明会用の会社説明会資料で気をつけるべきこと
コロナ禍以降、オンラインで会社説明会を実施する企業も増えています。
オンライン説明会には、遠方の参加者にも気軽に参加してもらえる、開催場所を確保せずに実施できるといったメリットがあります。
ただし、オンライン説明会の資料作成にあたっては、以下の点にいっそう気をつけてください。
- 会社の雰囲気や社員の声・姿をしっかりと伝える
- 資料の見栄えにも最大限に気を配る
対面説明会とオンライン説明会の大きな違いとして、参加者が五感で得られる情報量が挙げられます。
対面開催の場合、参加者は、会場の雰囲気や、そこで出会う社員の様子といったさまざまな情報を、自分の目や耳で感じ取ります。
プレゼン中についても、資料に書かれていることや話の内容そのものだけでなく、プレゼンターの身振り手振りや細かな表情といった非言語的な情報も含めて、その企業に対する印象を強くします。
一方、オンライン説明会の場合、基本的に参加者が得られる情報としては、スライド資料の内容と、画面越しに伝わってくるプレゼンターの話のみです。
通常のオンライン説明会では、参加者は自分の画面に大きくスライド資料を広げて、プレゼンターの顔は画面の端っこに小さく映るといったケースになるはずです。
「言葉にはできない会社の雰囲気」といった非言語情報はどうしても伝わりづらいため、対面開催時以上に、社風や働く人の姿を深く伝えるための工夫を心がけましょう。
対面とまったく同じ認識で進めてしまうと、思うような成果が出ない場合もあります。
加えて、資料の見栄えが悪いだけで印象を大きく下げてしまうおそれがあるため、色づかいや余白を含めたレイアウト・デザインにも気を配ることが重要です。
応募を促す説明会プレゼンをするためのコツ
多くの企業にとって、会社説明会の最終目標は「参加者の自社に対する理解を深め、応募を促すこと」となるでしょう。
このゴールを達成するためには、説明会資料の作成に力を入れることはもちろん大事ですが、当日のプレゼンテーションの進め方についてもしっかりと計画・準備しておくことが不可欠です。
本セクションでは、求職者の心を動かし、応募につなげるためのプレゼンのコツについて触れていきます。
資料を読み上げるだけにしない
会社説明会の当日は、準備した資料はプレゼンの進行をスムーズにし、参加者の理解を深めるための補助的なツールとして用いましょう。
単に資料に書いてあることを読み上げるだけでは、参加者の興味を引くことは難しいです。
資料に沿いながらも補足情報を適宜付け加えてプレゼンを進め、特別なエピソードや裏話も用意しておくとよいでしょう。
「その場でしか得られない情報」を発信して会社の魅力や社員の人間性を十分に伝えることができれば、参加者に「有意義な時間だった」と感じてもらいやすくなります。
現場の若手社員の声を届ける
求職者は、現場で働く社員の声に興味を持っています。
説明会におけるメインのプレゼンターは人事・採用担当者となる場合が多いですが、できれば現場の社員にも登壇してもらいましょう。
入社のきっかけや仕事の説明、メッセージなど、仕事のリアリティや成長できる環境などについて具体的に伝えると、参加者の興味を引きやすくなります。
なお、説明会にアサインする現場社員は、仕事にも慣れてきて、後輩や先輩とのつながりが増えている入社3~5年目の若手社員がおすすめです。
ただし、現場社員に登壇してもらう際には、採用担当者が事前にしっかりとガイダンスを行い、説明会の目的や、どんな話をしてもらいたいかといった点をすり合わせておくことが重要です。
参加者との対話・双方向性を重視する
印象に残る会社説明会にするためには、企業側が一方的に話をするだけでなく、参加者との対話の機会や時間を増やすことも効果的です。
説明会での「双方向性」を手軽に実現する方法としては、たとえばプレゼンの途中で、質問や感想を自由に発信してもらう時間を設けることが挙げられます。
また、ワークショップやクイズ、グループディスカッションなどを取り入れて、参加者が積極的に関与できる雰囲気をつくるのもよいでしょう。
参加者一人ひとりを大事にし、お互いにしっかりとコミュニケーションをとろうという場の雰囲気をつくるだけでも、参加者が受ける印象はより良いものに変わってきます。
プレゼン前後の時間を効果的に使う
会社説明会の場に集まった求職者たちは、少なからず自社に関心を持っています。
このせっかくの機会を無駄にしないよう、プレゼン前後の時間までフルに活用して参加者と関わりを持ち、自社の魅力を存分に伝えていきましょう。
プレゼン前後の時間を有効に使うためにおすすめの方法が、自社の特徴や魅力、働く環境などを動画にまとめた「採用動画」を流すことです。
プレゼン本編の冒頭でオープニングムービーを見せれば、参加者の集中力を集め、期待感をもって話を聞いてもらいやすくもなります。
また、プレゼンの最後でメッセージ性の強い動画を流せば、参加者はプレゼンで聞いた情報・ストーリーを改めて噛みしめることができ、強い印象を持ったまま場を後にすることができます。
プレゼン本編を大事にすることは言うまでもありませんが、ぜひその前後の時間も有意義に活用しましょう。
まとめ
採用活動で使用する会社説明会資料は、参加者の企業理解を深め、自社に対する関心を持ってもらうための手助けとなるツールです。
また、企業側にとっても、採用コンセプトなど伝えるべき情報を明確にし、重要ポイントをわかりやすく伝えるための大事な役目を果たします。
説明会資料の作成時には「求職者視点」をもったうえで、自社の特徴・魅力を存分に伝えるにはどうすればいいかを検討しましょう。
本記事で紹介したポイントを参考にしながら、ぜひ求職者の心に訴えかけ、応募につながる資料づくりを進めていってください。