「採用LP」は、企業が採用活動を効果的に進めるうえで役立つ、採用ツールの一つです。
多様な採用ツールのなかでも比較的低コストで制作できる採用LPは、ターゲット層に確実に情報を届けたい、エントリー数を増やしたいといった企業に向いています。
この記事では、採用LPの制作目的や、期待できる効果・メリットについて詳しく解説します。
採用LPの重要性が増している理由や、従来の採用サイトとの違い、また採用LPの制作・運用のポイントについても触れるので、ぜひ参考にしてみてください。
採用LP(ランディングページ)とは
最近、採用活動において「採用LP(ランディングページ)」を制作し、活用する企業が増えてきました。
ここではまず、採用LPとはどんなものを指すのかと、その目的・必要とされる理由について紹介します。「採用サイト」との違いもあわせて見ていきましょう。
採用LPの目的・必要性
採用LP(ランディングページ)とは、企業が採用活動において、求職者に向けて自社の情報を発信するためのWebページです。
自社の魅力や特徴を効果的に伝え、応募を促すことを目指して設計されます。
一般的に「LP」とは、検索結果やWeb広告などの先にある、ユーザーが最初にアクセスするWebページを意味します。
LPの主な特徴として、基本的には1枚の縦長ページで構成されること、商品・サービスの特徴などの情報が端的にまとめられていることが挙げられます。
ただし、LPをマーケティング視点でさらに深く見ていく場合、「最終的な成果となるCV(コンバージョン)獲得に特化したWebページ」といえます。
採用LPのCVは、求職者に自社の採用情報を魅力的に伝え、応募・問い合わせなどの具体的なアクションにつなげることです。
このゴールを達成するために、採用LPではシンプルでわかりやすいデザインを意識し、サイトを訪問した求職者に直感的なアクションを促します。
企業にとって、採用LPは、絞り込んだターゲット(求める人物像)に的確にアプローチするために役立つツールとなります。
採用LPと採用サイトの違い
採用LPと採用サイトには、大きく分けると「目的」や「構成・コンテンツ」において、以下のような違いがあります。
目的の違い
【採用LP】
求職者を引きつけて興味を持たせ、「応募」や「問い合わせ」といった具体的なアクションを直接促すことを目指します。
【採用サイト】
求職者が企業の採用情報を広く集めるプラットフォームとして、包括的な情報を提供するために設計されます。
構成・コンテンツの違い
【採用LP】
通常は1ページの縦長形式にまとめます。
必要な項目についての端的でわかりやすい説明と、ページ下部などに目立つCTA(Call to Action)ボタンを設けます。
【採用サイト】
多様な情報が提供され、複数ページで構成されることが一般的です。
企業の歴史や文化、事業内容、仕事内容、働き方、給与・福利厚生など、さまざまな要素について網羅的に詳しく掲載します。
採用LPと採用サイトを併用するケースも多い
上記のように、採用LPと採用サイトには異なる役割・特徴があるため、併用して採用活動を行う企業も多いです。
一般的には、まず包括的な情報を提供するための採用サイトを制作し、さらに採用効果を高めたい場合など、必要に応じて採用LPを制作するといった流れとなるでしょう。
ただし、その際には採用サイトとまったく同様の内容を、ただLPとして1ページにまとめ直すだけではややもったいないといえます。
後ほど詳しく解説しますが、LPには、読者の離脱を抑えて確実に次のアクション(応募など)につなげやすいことや、個性的な表現で自社の魅力を伝えやすいことなど、LPならではのメリットが多数あります。
それらの強みを最大限に生かし、目的を達成するための採用LPを計画していくことがおすすめです。
採用LPを制作するメリット
採用サイトよりも小コスト・短期間で制作できる
一般的な採用LPは、1ページの縦長形式で構成されます。
そのため、複数ページで作られる採用サイトと比較して制作コストを抑えることができ、制作期間もそこまでかかりません。
急ぎで採用情報を公開したい場合や、コストを極力かけずに応募を増やしたい場合などには、非常に活用しやすいツールです。
表現の自由度が高く他社との差別化を図りやすい
採用LPは、企業の個性や特徴を豊かに表現することで、他社との差別化がしやすいというメリットがあります。
通常、採用LPは企業サイト(コーポレートサイト)とは完全に独立した別のサイトとして制作するため、オリジナリティあるコンテンツやビジュアルを自由に取り入れやすいです。
求める人物像に合わせ、独自性を引き立てたユニークな表現によって、求職者に強く印象づけることができます。
決められた枠で展開する求人広告では他の企業に埋もれてしまいがちな企業でも、採用LPを活用すれば、自社の魅力を存分に伝えることができるでしょう。
ページ訪問者の離脱を防ぎやすい
1ページで構成される採用LPは、サイトを訪れたユーザーが、スムーズに読み進めやすいつくりとなっています。
LPの場合、採用サイトのように情報を集めるために複数のページを移動する必要がありません。
そのため、読んでいる途中でサイトそのものから離脱してしまう可能性が低く、ページ全体に目を通してもらいやすいのが魅力です。
ただし、そこから確実に「応募」というアクションにつなげるためには、求職者の注意をそらさないよう、掲載する内容や流れを工夫することが重要になってきます。
狙ったターゲットに情報を届けやすい
採用LPの他のメリットとして、広告との相性がよく、狙ったターゲットに情報を届けやすいことが挙げられます。
たとえば、採用LPは、しばしば検索エンジンの検索結果画面に表示される「リスティング広告」や、各種SNS上に表示される「SNS広告」などの遷移先(リンク先)として設定されます。
これらの広告を細かなターゲティングで配信することにより、そこから採用LPを訪れた求職者の応募(エントリー)確率を高めることができます。
採用LP制作のデメリット・注意点
採用LPには、通常の採用サイトとは異なる点でのデメリットも存在します。
気をつけたい点まで把握したうえで、LPを制作するかどうか、またどのように制作を進めていくかを考えていきましょう。
SEO対策が難しい
1ページで作られる採用LPは、一般的なWebサイトに比べてテキスト量が少なめであることなどから、検索エンジン経由での流入を見込みづらいという特性があります。
たとえば、複数ページで作られる採用サイトやブログのようなSEO対策は難しいため、別の方法で採用LPへのアクセスを集める工夫が必要です。
たとえば、Web広告やSNSアカウントの運用による情報発信を行い、興味を持ったユーザーが訪問する先として、採用LPを設定するといった方法が考えられます。
採用LPは単体ではなく他の採用広報とあわせて活用することで、期待する効果を出しやすくなります。
コンテンツの追加がしにくい
一般的に、採用LPは頻繁に内容を更新するWebページ(サイト)ではありません。
採用コンセプト・テーマに沿ってページ内容を固め、制作をしたら、基本的には完成したサイトを一定期間にわたって公開し続けることになります。
もし新しい情報や求人を追加したい場合には、都度LP全体を更新する必要があり、余計な手間やコストがかかってしまいがちです。
そのため、柔軟に情報更新をしたい場合や、後からコンテンツを追加する可能性が高い場合には、LPとは別に採用サイトを用意することをおすすめします。
効果的なLPを作るためには専門スキルが必要
魅力的で使いやすく、そして確かな効果が出るLPを制作するためには、サイトの企画やデザイン、コンテンツ設計などに関する専門的スキルが必要です。
とくに、LPは複数ページで構成されるサイトとは異なり、さまざまな情報を1ページにわかりやすくまとめなくてはなりません。
情報の取捨選択はもちろん、伝えたい情報をどう見せるかといった表現力、訪問者を飽きさせないような工夫も非常に重要です。
自社で対応が難しい場合には、採用LP制作を得意とする外部の専門会社への相談・依頼を検討するとよいでしょう。
採用LP制作のコンテンツ・構成
ここでは、実際に採用LPを作る際に、どんなコンテンツを盛り込めばよいのかを説明します。
基本的には以下の構成で作られることが多いですが、自社の強みや伝えたいこと、ターゲットに合わせて情報の取捨選択や調整をしていきましょう。
ファーストビュー
1ページに必要情報を盛り込んで、求職者に具体的なアクションを促す採用LPでは、「ファーストビュー」が非常に重要です。
ファーストビューとは、ユーザーがサイトを訪れた際に、最初に目に入る箇所のことです。
一般的には画像(写真・イラストなど)とキャッチコピーの組み合わせで作られ、このビューの印象が、求職者の企業に対する好奇心や応募意欲にも影響をおよぼします。
ファーストビューの印象が薄い場合、求職者はそのままページを離れてしまう可能性もあるため、ぜひ力を入れて作成したい要素です。
採用メッセージ・会社の紹介
ファーストビューに引き続き、自社がどんな会社なのか、この会社で働く魅力は何かといったメッセージを求職者に対してわかりやすく伝えます。
初めて自社のことを知る求職者がパッと見て会社の特徴を掴めるように、自社の強み・魅力を整理して表現しましょう。
テキスト量が多すぎるときちんと読まれない可能性があるため、視覚的にわかりやすく伝えることがポイントです。
求める人物像
求める人物像として、自社にマッチするのはどのような人なのか、どんな価値観やキャリア志向を持っている人と一緒に働きたいかといった点を伝えます。
会社の代表や採用担当者、活躍する社員などが登場して、インタビュー形式でメッセージを載せるのも効果的です。
なお、ターゲットを明確にすることは非常に大事ですが、メッセージの伝え方に関しては、高圧的で一方的な印象を与えないように気をつける必要があります。
求職者が「この会社で頑張りたい」と前向きになれる表現を意識してまとめていくとよいでしょう。
募集要項・採用フロー
LPの後半部分まで読み進めた求職者は、企業に対する関心や応募意欲がだいぶ高まっています。
ここで募集要項や採用フローについても詳しく示し、安心して応募してもらえる状況をつくりましょう。
ただし、文字数が多くなり過ぎると、求職者は読むのが面倒になって離脱してしまう可能性があります。
箇条書きや図表、イラストなども入れ込みながら、できるだけわかりやすくまとめましょう。
エントリーボタン
採用LPにおけるコンバージョンは、応募のアクションにつなげることです。
そのため、エントリー(応募)ボタンは「わかりやすさ」を意識し、求職者を誘導しやすい位置に、見やすい色・デザインで設置しましょう。
ページ最下部はもちろんですが、主要なセクション(要素)の下にも設置し、求職者が「応募してみたい!」と思ったタイミングで即応募ができるようにしておくことがポイントです。
ただし、あまりにボタンが多すぎると「しつこい」と思われて逆効果になってしまうため、全体のコンテンツ量に応じて配置箇所や数を調整しましょう。
その他(よくある質問、ショート動画など)
求職者にとって気になる点や、不安・疑問を抱きやすい話題については「よくある質問」として、Q&A形式で掲載するのもおすすめです。
「よくある質問」コンテンツを通して、自社ならではの働きやすさや制度などのメリットを改めて伝えることもできます。
また、会社の雰囲気や社員の働く様子が伝わる「ショート動画」を用意し、LPに埋め込んでおくのもよいでしょう。
コンテンツを工夫し、自社の雰囲気や特色がよく伝わるLPにすることで、より多くの求職者を惹きつけることができます。
採用LPを効果的に制作・運用するポイント
採用LPは、「どのように作るか」がもちろん大事ですが、「作ったあとにどう運用するか」によっても、得られる効果に差が出てきます。
ここでは、採用LPで少しでもよい効果を得るための制作・運用のポイントを説明します。
求める人物像を明確にする(ペルソナ設定)
採用LPを効果的に制作するには、まず求める人材について深く考え、「ペルソナ設定」を行うことが重要です。
「ペルソナ」は、どのような層の人たちに焦点を当てるかを示す「ターゲット」よりも、さらに具体的で細かな人物像を表します。
ペルソナ設定の際には、たとえば年齢や性別のほか、学歴・家族構成・趣味嗜好・ライフスタイルといった点まで明確にイメージしましょう。
こうすることで、自社が求める人物像がどのようなニーズをもっているかが明らかになり、LPに盛り込むべき要素もハッキリと見えてきます。
求職者視点で掲載すべき情報を検討する
採用LPの制作時には、ほかの採用ツールを扱う場合と同様に「求職者視点」をもつことが重要です。
求職者が「知りたい」と思う情報をきちんと伝えなければ、どれだけ多くの情報を提供しても、なかなか応募を増やすことはできません。
自社が伝えたいことはたくさんあるはずですが、一方的ではなく、求職者はいったい何を求めているのか、どんなコンテンツに興味を持つのかの視点を忘れずに制作を進めていきましょう。
同じよう情報を伝えるにしても、たとえば求職者の不安を先回りして解消するような内容を意識することで、より確実にメッセージが届きやすいLPになります。
自社の特徴・魅力を整理し簡潔にまとめる
求職者の心を掴むLPを制作するためには、自社の特徴と魅力をしっかりと洗い出しておきましょう。
限られた情報量で求職者にアピールする採用LPでは、インパクトが重要です。
「これこそが自社の強み!」といえるポイントを社内できちんと把握・共有しておくことで、求職者に刺さるコンテンツを作りやすくなります。
また、どれだけ素晴らしい情報でも、ただ雑然と並べるだけでは、思うように伝わらない場合があります。
実際にコンテンツを作る前には、誰に何をどう伝えたいのかといったコンセプト・テーマも明確にしておきましょう。
コンテンツの順番・流れを重視する
1ページだけで構成される採用LPは、基本的に上から下へと順番に目を通していくことになります。
そのため、LPのゴール(応募・エントリー)に確実につなげるためには、ページを訪問した求職者が途中で飽きて離脱してしまわないよう、掲載するコンテンツの「順番」と「流れ」が非常に重要になってきます。
求職者が自然と読み進めたくなるような表現やコンテンツを意識して、ページを作り込む必要があります。
いろんな情報をあれもこれも伝えたいからといって、テキスト量が増え過ぎたり、ページが長くなったりし過ぎるのは逆効果です。
また、応募へつながるボタンは、ページ下部のほか、訪問者が「ここで押したい!」と思う箇所に確実に置いておくこともポイントです。
設定したペルソナにもとづき、求職者心理をよく考えたページ設計を行っていきましょう。
公開後は適切に効果測定や改善を行う
採用LPを公開した後は、そのまま放置するのではなく、適切に効果測定を行いましょう。
LPは1ページで作られているため、何ページもあるWebサイトと比べると、効果測定が比較的容易です。
たとえば「ヒートマップ」を使えば、とくに熱心に見られている箇所や、読み飛ばされている箇所が視覚的にわかります。
次のアクションにつながるボタンがどれくらいクリックされているか、どこで離脱されているかといったことも見えてきます。
もし目を留めてもらいたい箇所が注目されていない場合には、コンテンツの順番を変えてみたり、テキストや画像を別のものにしてみたりなど、早めの改善につなげることが大事です。
まとめ
採用LPは、通常1ページの縦長で構成されるWebページで、豊かなビジュアルや印象的なキャッチコピーを取り入れ、自社の採用情報を印象的に伝えることができます。
一般的な採用サイトと比較し、サイト内でのページ遷移の必要がないために離脱されづらく、自社に興味をもった求職者を応募(エントリー)につなげやすいといったメリットがあります。
「網羅的にわかりやすく採用情報を伝えるページを用意したい」「応募数を最大限に増やしたい」といった企業におすすめです。
なお、採用LPはSEO対策が難しいため、より効果的に求職者を集めるためには、SNSアカウントでの発信や求人広告など、他の採用媒体・手法と組み合わせるとよいでしょう。