リファラル採用とは?導入のメリットと注意点、費用や実施のコツを基本から解説

リファラル採用とは?導入のメリットと注意点、費用や実施のコツを基本から解説

近年、企業の採用手法のひとつとして、積極的に活用されるようになっているのが「リファラル採用」です。

本手法では、自社の社員による紹介を通じて質の高い人材との出会いを増やすことができるなど、さまざまな魅力があります。

本記事では、企業がリファラル採用を取り入れた場合、どのようなメリット・効果が期待できるのかや、導入にかかる費用などを基本から解説します。

また、リファラル採用を実際に行う際のコツ、注意点にも触れていくので、ぜひ参考にしてください。

目次

リファラル採用とは

まずは、リファラル採用の特徴や、近年この採用手法を取り入れる企業が増えてきた背景・理由について説明します。

しばしば混同されることもある「縁故採用」との違いについても見ていきましょう。

社員のネットワークから採用候補となる人材を紹介してもらう採用手法

リファラル採用とは、自社の社員を通じて、採用候補となる人材を紹介してもらう採用手法です。

「リファラル(referral)」という単語は、日本語では「紹介」や「推薦」といった意味を持ちます。

その言葉の通り、社員のネットワーク(知人・友人など)から自社の採用要件に合う人を紹介してもらい、選考を進めることをリファラル採用といいます。

企業によっては「社員紹介採用」といった名称で、この採用手法を導入しています。

日本におけるリファラル採用は、求人媒体や人材紹介といった採用手法と比較すると、まだ完全に浸透しているわけではありません。

しかし、時代が進むにつれて徐々に本手法を取り入れる企業は増え、いまでは大手・上場企業のほか、中小企業やベンチャー企業でも積極的に活用されるようになっています。

また、リファラル採用は世界的に見れば一般的な採用手法で、米国企業では8~9割がリファラル採用を行っているというデータもあります。

リファラル採用が注目される理由・背景

近年、リファラル採用が注目を集めるようになった理由はいくつかあります。

大きな理由のひとつとして、少子化による人材不足や企業の採用難が続き、各社が「自社にマッチする人材との出会いの機会を増やしたい」と考えていることが挙げられます。

従来の採用手法、とくに求人広告やエージェントを利用する方法では、適切な候補者にアプローチしにくいという課題がありました。

世間に広く公開される求人広告は母集団形成には有利ですが、応募者の質がばらつきやすく、企業が求めるスキルや文化に適合した人材を見つけるのが難しい場合があるためです。

また、エージェントを介する場合でも、エージェントのネットワークはある程度限られますし、自社の文化にフィットする人材や、多岐にわたる専門性や経験を持つ人材と確実に出会えるとは限りません。

一方、リファラル採用は自社の企業理念や社風、価値観などを深く理解している社員の紹介を受けて行うため、自社のスキルや文化にマッチした人材と出会いやすいのが魅力です。

また、リファラル採用では、一般的な求人広告や人材紹介のエージェント手数料と比較して、大きく採用コストを抑えることが可能です。

同時に、リファラル採用では既存社員に協力してもらうことにより、社員のエンゲージメント向上や、組織全体の連帯感の醸成といった効果も期待できます。

限られた採用コストを活用し、マッチング率の高い採用を行う手段として、リファラル採用を導入する企業が増えてきています。

リファラル採用と縁故採用の違い

社員の紹介で新しい人材と出会うリファラル採用は、ときに「縁故採用」と勘違いされたり、いわゆる「コネ入社と同じではないか?」と思う人もいるようです。

しかし、リファラル採用と縁故採用は、以下のように定義や特徴が異なります。

  • リファラル採用:社員のネットワークによって推薦や紹介のあった候補者を選考・採用する方法
  • 縁故採用:一般的に、採用担当者や経営陣の深いつながりや血縁関係に基づいて、特定の候補者を採用する方法

簡単にまとめると、リファラル採用は、基本的には親族・身内を紹介するものではありません。

たとえば、前職の知り合いや学生時代の友人といった社員の多様なネットワークから、自社にマッチするのではないかと判断された人材が紹介されます。

選考についても、リファラル採用の候補者は、基本的に「紹介だから」といって特別扱いをされることはありません。

あくまでも自社の選考基準に沿って正当に評価・判断されたうえで合否が決定します。

一方、縁故採用では親戚関係など、プライベートでのつながりが強い人が採用されるケースが大半です。

こういった特徴から、採用の公平性や透明性に関してはリファラル採用のほうが高いといえるでしょう。

リファラル採用を導入するメリット

リファラル採用を導入すると、どのようなメリットや効果が期待できるのかを説明します。大きくは以下の4点が挙げられます。

マッチング率の向上

自社の社員が新たな人材を紹介するリファラル採用では、候補者と企業のミスマッチが起こりづらく、高いマッチング率が期待できます。

その理由として、2点挙げられます。

  • 紹介者である社員が、候補者の資質や特性をよく理解していること
  • リファラルで採用した人材が、入社後に組織文化に適応しやすいこと

リファラル採用で紹介される候補者は、社員によって「自社の文化や価値観にフィットするか」「自社が求めているスキルや適性にマッチしているか」といった点が深く考慮されています。

そのため、本格的な選考に進んでいく時点では、マッチングする確率がより高まります。

また、候補者自身も、紹介した社員の情報によって企業の文化や価値観を事前に深く把握できているため、より具体的なイメージをもって組織に馴染みやすいといえます。

結果的にミスマッチのない採用につながりやすく、入社後の定着率アップも見込めます。

採用コストの削減

リファラル採用は、採用コスト面でのメリットも大きいです。

一般的に、求人広告の出稿や採用イベントの出展などには、1回につき数万円~数十万円以上の多額の費用がかかります。

また、これらの採用媒体やサービスを利用したとしても、毎回確実に採用に結びつくとは限りません。

しかし、リファラル採用であれば、社員が自分のネットワークから候補者を紹介するため、広告費は必要ありません

また、リファラルでの採用者は紹介者との信頼関係があるため、選考プロセスが円滑に進みやすく、時間の節約も可能です。

潜在層と出会うチャンスの増加

リファラル採用を導入すると、他の採用手法では出会えない求職者との出会いのチャンスが広がります。

とくに、社員の紹介によって、積極的には転職活動を行っていない潜在的な候補者ともつながりを作りやすいことは、リファラル採用のメリットです。

通常、潜在層とのつながりを強めていくには、自社の採用ターゲットとなる人材を市場から探し出し、アプローチをきっかけに地道にコミュニケーションを続ける必要があるなど、一定の時間がかかります。

しかし、リファラル採用の場合、社員自身が企業の魅力や特徴をよく知っているため、情報を正しく、速やかに伝えやすいという点もポイントになります。

リファラル採用を積極的に実施することで、優秀な人材を他社にとられてしまう前に採用できる可能性も高まります。

既存社員のエンゲージメント向上

リファラル採用には、既存社員のエンゲージメント(※)を向上させる効果もあるといわれています。

※エンゲージメント:社員が仕事に対して積極的であり、会社の目標や価値観に共感し、自発的に力を発揮する状態

個々の社員がリファラル採用に参加することで、会社の重要な活動に参加しているという「当事者意識」が生まれます。

また、紹介を行う過程で自社に対する理解が深まることで、仕事のモチベーションが高まり、チームや組織に対する愛着や忠誠心が増すといった目には見えにくい効果も期待できます。

リファラル採用のデメリット・注意点

リファラル採用には多くの利点がある一方で、慎重な取り組みが求められる要素も存在します。

このセクションでは、リファラル採用の導入にあたっての注意点・気をつけたいポイントを4点解説します。

即時採用・大量採用は難しい

リファラル採用は、急募や大量採用には向いていません

社員や紹介者、そして企業の信頼関係を基にした採用手法であるため、候補者とのコミュニケーションがとりやすく、選考もスムーズに進めやすいのがリファラル採用の特徴です。

しかし、十分な検討や評価の時間を確保せずに進めてしまうと、本当に適切な人材を採用できない場合があります。

採用担当者は、自社の採用計画にもとづいて戦略的なアプローチを心掛けましょう。

また、リファラル採用を自社に取り入れたとしても、同時に大人数の紹介を受けることはめったにありません。

母集団形成や大量採用を行いたい場合には、他の採用手法も並行して進めていく必要があるといえます。

人間関係への配慮が必要

リファラル採用では、社員と紹介相手の人間関係にも配慮が必要です。

とくに、紹介を受けた候補者を「不採用」とする場合は十分に注意しましょう。

候補者はもちろん、紹介してくれた社員に対しても、きちんと説明やフィードバックを行い、両者の人間関係を損なわないよう気をつけなくてはなりません。

きちんとフォローをしないと社員のモチベーションが下がり、仕事に対する意欲やエンゲージメントの低下、また最悪の場合は離職につながってしまうおそれもあります。

また、あらかじめ選考基準を明確にし、社員に周知しておくといった仕組みづくりも大事です。

社員の認識不足によるミスマッチやトラブルのおそれ

社員の人脈を活用するリファラル採用を取り入れる場合には、社員に対して、自社の正確な情報を共有しておくことも重要です。

もし社員が間違った情報を候補者に伝えてしまった場合、いざ選考が進んでいく過程や採用後に「聞いていた話と違った」「こんな会社だと思っていなかった」などのトラブル・ミスマッチにつながるおそれがあります。

社員とは日頃からコミュニケーションの質を高め、トラブルを未然に防ぎましょう。

また、採用担当者は客観的な視点を持ち、紹介された人材のスキルや適性を適切に評価することが必要です。

採用する人材の質や特性が偏る場合がある

リファラル採用のもうひとつのデメリットとして、採用する人材に、ある程度の偏りが生じる可能性があることが挙げられます。

これは、既存の社員が自身と同様のバックグラウンドや経験を持つ人物を推薦しやすいためです。

たとえば前職の知り合いや同じ学校出身者、あるいは同様のスキルを持った人など、既存の社員との共通点がある人が集まりやすい場合があります。

とくに小規模で社員の人間関係が濃くなりやすい企業、一人ひとりの個性が組織に大きな影響を与えやすい企業ほど、「多様性」の観点では注意が必要になるでしょう。

リファラル採用にかかる費用

リファラル採用は、他の採用手法と比較しても低コストで導入できるメリットがあります。

しかし、使い方によってはいくらかの費用は必要になるため、予算についても十分に計画しておきましょう。

以下では、リファラル採用にかかる主な費用について解説します。

紹介者に対するインセンティブ

インセンティブの内容

リファラル採用を促進するために、企業は紹介してくれた社員に対する「インセンティブ」を用意することが多いです。

このインセンティブの金額は企業によって異なりますが、一般的には10万円程度から15万円程度、高くても30万円未満が相場です。

お金ではなく、リファラル採用にかかった実費(交通費・飲食費など)の支給や、特別な休暇を提供する企業もあります。

なお、インセンティブの設定は義務ではないため、インセンティブを用意しないという選択肢も可能です。

しかしながら、社員が自身のつながりから人材を紹介するとなれば、少なからず社員には負担がかかります。

インセンティブは紹介してくれた社員への労いになりますし、リファラル採用が積極的に活用されるといったメリットもあるため、この制度を導入する際にはぜひ検討しておくとよいでしょう。

インセンティブの注意点

ただし、リファラル採用で社員にインセンティブを渡す場合、違法とみなされるケースがあるため、その点には注意が必要す。

というのも、本来、人材紹介を「業」として行うためには国の許可が必要であり、その許可を得ていない人に対して報酬を支払うことは禁止されているのです。

これには、以下の法律が関係してきます。

【職業安定法第30条】
「有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。」
参考:e-Gov法令検索

通常、企業が人材紹介の許可を受けているケースは多くないと考えられるため、リファラル採用に関するインセンティブを社員に支払うことは原則違法となります。

ただし、同じ職業安定法において、紹介のインセンティブを「賃金」や「給料」の形で支払うことは例外として認められています

こういった背景から、以下の2つのポイントに気をつけてインセンティブを設定しましょう。

ポイント1:就業規則・賃金規定に記載する

労働基準法第15条において、賃金や給料に関する事項は必ず明示することが定められています。

そのため、リファラル採用のインセンティブを賃金・給料として支払うために、支払い時期や支給額などを就業規則・賃金規定に必ず記載しておきましょう。

※常時10名以上の従業員を使用している企業の場合、就業規則を定めたとき、もしくは改定したときに、従業員への周知と行政官庁に届出が必要になります。

ポイント2:インセンティブ額が高額にならないようにする

リファラル採用のインセンティブがあまりにも高額だと、受け取った社員は「業」として人材紹介を行っているとみなされる可能性が出てきます。

そのため、インセンティブの金額は「業」としてみなされない範囲に留めることがポイントです。

目安としては、許可をとって人材紹介業を営む企業の報酬額よりも低い金額に設定することです。

有料の人材紹介会社の報酬相場は30~35%程度とされるため、最大でも30%未満に設定しておくと「違法」とみなされるリスクを下げられます。

インセンティブ以外の費用

リファラル採用を行う場合、インセンティブ以外にも費用がかかることがあります。

例として挙げられるのが、採用管理などの専用ツールやプラットフォームの導入費です。

また、リファラル採用の制度設計から実行のサポートを受けられるコンサルティングサービスなどもあり、そうした外部サービスを利用すれば、それぞれに費用が発生します。

各種サービスやツールの利用によってリファラル採用が効率的に進むこともあるため、自社にとって必要なツール・サービスは何かをよく考えたうえで、何を使うかを検討していきましょう。

そのほか、リファラル採用向けのランチ会・パーティーなど社内イベントの開催をする場合には、その費用もかかってきます。

リファラル採用に向いている企業

リファラル採用は、業界や業種を問わず、また大手企業から小規模な企業まで、あらゆる企業で活用できる採用手法です。

ここでは、そのなかでも、とくに効果的な運用が見込める企業の特徴について紹介します。

スタートアップ・ベンチャー企業

リファラル採用に向いている企業のひとつが、立ち上げて間もないスタートアップや、少数精鋭で新規事業の拡大などに取り組むベンチャー企業です。

これらの企業では、大手企業のように潤沢な採用予算を持つわけではなく、採用活動にかけられるリソースが限られている場合が多いです。

しかし、大きな成長途上にあるため、優秀な人材を効率よく一人でも増やし、事業を加速させていきたいと考える企業が少なくありません。

社員の紹介を活用するリファラル採用であれば、求人広告の出稿など、一般的な採用活動にかかる手間やコストを大きく抑えることが可能です。

また、スタートアップやベンチャーは良くも悪くも未完成の組織であり、各企業が独自のカルチャーを築きながら成長を続けていることが多いでしょう。

自社への貢献度が高く、成長意欲の高い社員の紹介によって、同じように自社にマッチする候補者が集まる可能性は高まります。

少人数でいいので、採用費を抑えながら優秀な人材を確保したいと考える企業には、おすすめの採用手法です。

既存社員のエンゲージメント・満足度が高い企業

既存社員のエンゲージメントや満足度が高い企業も、リファラル採用の導入をおすすめできます。

このような企業の場合、社員が自社に対する愛着や誇りを持っていることから、自身のネットワークで自信をもって優れた人材を紹介しやすい傾向にあります。

また、一般的に社員満足度が高い企業の特徴のひとつとして、職場の雰囲気が友好的でオープンであることが挙げられます。

新しいメンバーを歓迎する職場環境では入社した人材が定着しやすく、リファラル採用が効果的に機能しやすいと考えられています。

専門性の高い人材を採用したい企業

リファラル採用は、専門性が求められる職種・ポジションの人材を採用する手段としても有効です。

たとえば、AIやIoTといった最先端分野のエンジニアはそもそも母数が少なく、出会えるチャンスが少ないです。

こういった人材は、一般的な求人広告を使った採用手法では見つけることが難しいですし、アプローチできたとしても、競合他社との厳しい獲得競争にさらされがちです。

しかし、リファラル採用を導入すれば、自社の業界や専門領域に詳しい既存社員が、自身のネットワークを通じて質の高い候補者を紹介してくれるかもしれません。

また、その時点では本格的に転職を希望していない潜在層に対しても、社員経由で声をかけることが可能です。

激しい獲得競争を避けつつ、専門性の高い優秀な人材に早めにアプローチしたいと考える企業にとっても、リファラル採用を導入するメリットは大きいといえます。

リファラル採用を成功させるためのポイント

リファラル採用を効果的に運用していくためには、採用計画にもとづいた制度設計など、さまざまな工夫が必要になります。

ここでは、リファラル採用の成功に向けた重要なポイントを紹介します。

従業員が紹介したくなる職場づくりに取り組む

前述した通り、リファラル採用を導入すると、既存社員のエンゲージメント向上の効果も期待できます。

しかしながら、そもそも社員たちに「この会社を自分の大切な知人・友人にまで紹介したい」と思ってもらえないと、リファラル採用は活性化しません

そのため、リファラル採用を取り入れるにあたっては、日頃から魅力的な職場環境づくりを行うことが重要です。

社員にとって働きやすい職場環境を整えるなかで既存の社員のエンゲージメントを高めれば、自然な形でのリファラル採用促進につながります。

リファラル採用の制度を具体的に設計する

リファラル採用を導入する際には、本制度を安定的かつ効果的に運用するために、具体的な設計を行いましょう。

設計にあたってとくに意識したいポイントは、以下の通りです。

  • 目標の設定
  • 求める人物像の明確化
  • インセンティブの設定(内容・金額など)
  • 公平性の確保
  • 紹介プロセス(スムーズであることが望ましい)
  • 紹介してくれた社員に対するフィードバック方法
  • 社内への周知方法と内容
  • 成果に対する評価方法

いざ動き始めてから迷うことがないように、制度の内容や目的、具体的な選考基準やプロセス、紹介してくれる社員に対するインセンティブやフィードバック方法なども決めておきましょう。

リファラル採用の意義・内容を社内に正しく周知する

リファラル採用の制度が存在しても、社員がその存在を知らなければ、あまり意味がありません。

制度を形骸化させないために、日頃から自社のリファラル採用に関する最新情報をわかりやすく周知し、活用されるための仕組みづくりに力を入れましょう。

リファラル採用の意義や目的を含めて全社で正しく共有することは、制度の活性化につながります。

また、これはリファラルで入った人材に対して、社員の間に「コネ入社なのではないか?」といった変な憶測や誤解、不安を生まないためにも重要なポイントです。

面接(選考)の前にカジュアル面談や職場見学を実施する

リファラル採用では、紹介された候補者の状況・ケースにもよりますが、基本的には即選考に進まないほうがよいとされています。

社員の紹介を受けた時点では、まだ候補者の求職意欲があまり高まっていない場合や、企業の雰囲気をしっかりと把握できていない場合も多いからです。

まずは職場見学やランチ会に誘ったり、カジュアル面談を実施したりして相互理解を深めつつ、候補者が本当にマッチするかを判断していきましょう。

同時に、候補者には積極的に情報を提供し、会社で働くイメージを高めてもらいます。

なお、リファラル採用を導入する企業のなかには、自社イベントとして、社員の知人・友人を誘って交流を深める「リファラルイベント」を開催するところもあります。

このような企業と外部の人材が気軽にコミュニケーションをとれる場を設けることで、自社の価値観や雰囲気に触れてもらいつつ、少しずつ信頼関係を築くことができます。

さらに、紹介する社員にとっての負担軽減も見込めるなど、さまざまなメリットが期待できます。

他の採用手法と並行して実施する

リファラル採用は、他の採用手法と並行して行うことが望ましいです。

というのも、リファラル採用は社員の限られたネットワーク内で進めていくため、必要な人材がすぐに見つからない場合には、採用が大幅に遅れる可能性があるためです。

リファラル採用で継続的にマッチング度の高い人材との出会いを求めつつ、自社の採用計画や目標に応じて、場合によっては求人広告や採用イベント出展、ダイレクトリクルーティングなどの手法も活用しましょう。

異なる採用手法の組み合わせは多様な人材層にアプローチでき、採用の可能性を広げることにもつながります。

長期的な視点でPDCAを回して改善を続ける

せっかく設計したリファラル採用の効果を最大化させるためには、長期的な視点をもって運営を続けましょう。

とくに大事なのは、施策に対する分析や改善のPDCAサイクルを回し、制度をブラッシュアップし続けることです。

以下のような項目を数値化し、月に1回など定期的に成果を振り返る機会を設けるのが望ましいです。

  • 社員の協力率
  • 社員一人あたりの紹介数
  • 面談実施数
  • 採用決定率
  • 定着率 など

自社に最適な指標を設けて定量的に分析することで、制度のどこに課題があり、どの要素がうまくいっているかを判断しやすくなります。

制度は一度設計したら完璧とは考えず、必要に応じて見直しを行っていきましょう。

まとめ

リファラル採用は、社員個人のネットワークを通じて、新しい人材を紹介してもらう採用手法です。

他の採用手法よりも採用確度が高く、コストを抑えつつミスマッチのない採用につなげやすいなどのメリットがあるため、さまざまな企業が積極的に活用し始めています。

また、リファラル採用は、単なる採用活動を超えて、個々の社員自身が自社の魅力や仕事のやりがいを改めて考えるきっかけにもなります。

上手に取り入れれば企業全体にとってよい影響が期待できますが、本記事で紹介したように注意したいポイントもあることを理解したうえで、制度を具体的に設計してください。

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