近年、企業の採用活動において「オウンドメディア」が活用される例が増えています。
自社で情報発信をし、会社の魅力を伝え、求職者とのコミュニケーションを深めるうえでも役立つ採用オウンドメディア。
本記事では、そんな採用オウンドメディアの特徴や目的、得られる効果、メリット・デメリットなどを紹介します。
あわせて、実際にメディアを立ち上げる際の流れや、効果的な運用のコツもあわせて解説していきます。
採用オウンドメディアとは
採用オウンドメディアの目的・役割
採用オウンドメディアとは、企業が自社で所有し、採用活動を主目的に運用されるメディアプラットフォームのことです。
一般的には「ブログ形式」の記事を示すことが多く、自社の特徴や魅力、社内の雰囲気、働く社員の声などを、テキストや画像などを取り入れた記事として発信します。
採用オウンドメディアを活用するメリットは、企業自らが自社の魅力を表現豊かに、ダイレクトに発信できること。
認知拡大やブランディングを実現しやすく、自社にマッチする優秀な人材を引き寄せるうえで重要なツールとなっています。
また、メディア運用を続ける中で採用ノウハウが溜まっていくことから、中長期的な採用力アップや採用コスト削減を目指したい企業に向いています。
採用サイトと採用オウンドメディアの違い
採用サイトは、採用に関連する情報全般、具体的には事業内容や求人情報、採用プロセスなどを集約したメディアで、求職者にとって必要な項目・情報を端的にまとめたサイトを意味します。
採用サイトも「企業が自社で運営する」ため、広義ではオウンドメディアの一種と考えることができます。
ただし、採用サイトと採用オウンドメディア(ブログ)には、「コンテンツの考え方」や「更新頻度」などの点で、大きな違いがあります。
採用ブログを中心とするオウンドメディアでは、採用サイトでは伝えきれない自社の魅力や日常の出来事、社員が活躍する様子などを、個性豊かなコンテンツで発信することが特徴です。
継続的に新たなコンテンツを発信し、徐々に認知拡大や自社のファンづくりを目指すため、すでに自社への関心がある求職者だけではなく、潜在層にまでアプローチしやすいことも特徴です。
一方、採用サイトは、基本的には一度制作をしたら大枠は変えず、必要に応じて最新のニュースや採用情報の変更点を修正・更新する程度です。
毎年デザインやコンテンツを大きくリニューアルする企業もありますが、通常、ブログほど頻繁に更新は行いません。
求人サイトと採用オウンドメディアの違い
求人サイトとは、さまざまな企業の求人情報がまとめて掲載されるWebサイト(サービス)です。
働き手を求める企業は、求人サイト上に広告を出します。一方、働きたいと考える求職者(ユーザー)は、求人サイト上で自分の希望条件に合う求人情報を探し、応募する仕組みとなっています。
求人サイトを利用する企業は、各サービスに費用を払って一時的に自社の採用情報を掲載するため、自社で保有・運営する採用オウンドメディアとは性質が大きく異なるものとなっています。
求人サイトを使うメリットの一つは、多くの求職者に対し、効率的に採用情報を届けられることです。
しかし、一般的な求人サイトには膨大な企業の求人情報が集約されるため、オウンドメディアと比べて企業ごとのブランドやメッセージは埋もれてしまいやすいです。
また、求人サイトでは決まった枠の中で情報を掲載することになるため、オウンドメディアのような自由な表現をするのは難しいといえます。
採用オウンドメディアが注目される理由
ここでは、採用オウンドメディアが注目される理由について説明します。
なぜ多くの企業が採用活動でオウンドメディア戦略に取り組んでいるのか、詳しく見ていきましょう。
優秀な人材の採用が難しくなっているため
少子高齢化が進み「売り手市場」が続く現代の日本において、企業の採用活動は厳しい状態が続いています。
各社が少しでも優秀な人材を採用したいと考えるなか、自社の魅力が思うように伝わらず、エントリーが集まらない、求める人材が採用できないと苦心する企業も少なくありません。
現代の採用市場において、企業は、もはや「待ちの姿勢」でいるだけでは、自社にマッチする人材と出会えるチャンスを広げることが難しいと考えておく必要があります。
採用活動を成功させるためには、自社に関心を持つ求職者はもちろん、潜在層に対する積極的な情報発信・アプローチが不可欠となっているのです。
より多くの人材との接点をつくること、そして求職者とのコミュニケーションを深めていくために、採用オウンドメディアは大きな役割を果たします。
会社や仕事選びの価値観が多様化しているため
現代はひと昔前のように、ただ単に「知名度がある、給料が高い」といった要素だけで、自社の魅力づけをするのが難しくなっています。
価値観が多様化し、働き方に対する考え方や希望もさまざまになっているためです。
最近では仕事内容そのもの以上に、人間関係を含めた職場の居心地や、働きやすさを重視して会社選びをする求職者も増えています。
また、若いうちからのキャリアアップの機会が得られることやチャレンジングな環境を重視する人もいれば、ワークライフバランスを何よりも大事にしたいと考える人もいるのが実情です。
このような状況下で自社にマッチする人材と出会い、採用につなげるためには、企業側が自社の価値観・文化について十分に発信することが欠かせません。
一般的な求人票や募集要項だけでは伝わりにくい自社の「思い」を、より深く、丁寧に伝えるためのツールとしても、採用オウンドメディアは活用されています。
求職者の情報収集方法が変化しているため
求職者の情報収集方法が大きく変化していることも、企業が採用オウンドメディアを活用する理由のひとつになっているといえます。
現代の求職者は、求人サイト(就職ナビサイト)のほか、採用サイト、SNS、口コミサイト、就職・転職イベント、会社説明会など、さまざまな媒体やツールを利用し、あらゆる角度から企業の情報を集めます。
そして、集めた情報を総合的に捉えて、その会社が本当に自分に合うかどうか、その職場で働きたいと思えるかどうかを判断するのです。
日々デジタルツールを活用して膨大な情報に触れているからこそ、よりリアルで確かな情報を求めるようになっているのも、現代の求職者の特徴です。
求職者にとって有益な情報を提供できるように、企業側はオウンドメディアを活用して、有益な情報発信を続けていくことが重要になっています。
採用オウンドメディアを通じて得られる効果・メリット
採用オウンドメディアを効果的に運用すれば、採用活動に良い影響を与えることが期待できます。
以下で、採用オウンドメディアを活用する具体的なメリットについて説明します。
自社の魅力を伝えやすい
採用オウンドメディアを活用することで、企業の魅力を効果的に伝えることができます。
一般的に採用オウンドメディアでは、ブログやSNSなどの各メディアにおいて、仕事紹介や社内の取り組み、社員インタビューといった多様なコンテンツを提供します。
自社ならではのカルチャーや価値観を積極的に発信すれば、より多くの求職者や潜在層に、リアルで個性的な企業文化が伝わります。
求人広告などと比べて制約の少ないオウンドメディアでは個性的な表現が可能なため、他社との差別化がしやすく、自社に適した人材を引き寄せやすいのも魅力といえます。
ミスマッチや早期離職を防げる
採用オウンドメディアの別のメリットとして、ミスマッチや早期離職を防ぐ効果が挙げられます。
オウンドメディアを通じて提供される情報は、入社前の「求職者と企業の期待値」を調整するうえでも役立ちます。
求職者にとっては、企業の多様なコンテンツを受け取ることによって、その会社の雰囲気や仕事が自分に合っているかどうかを見極めやすくなります。
結果的に、入社後のミスマッチのリスク軽減につながりますし、企業にとっては早期離職による余計なコスト増加のリスクを下げられることもメリットのひとつといえるでしょう。
採用コスト削減につなげられる
オウンドメディアの効果的な活用により、広告費や選考の手間を削減でき、採用コストを効率的に抑えることができます。
一般的に、正社員採用に利用される求人広告では、1シーズンあるいは一か月あたりで数十万円、場合によっては百万円以上の広告費がかかります。
「マイナビ」が実施した調査によると、2022年の中途採用における求人広告費用実績は平均で117.9万円と発表されています。
出典:中途採用状況調査2023年版(2022年実績)
広告費は決して安いものではありませんし、複数の求人広告や採用関連サービスを利用する場合、費用はどんどん膨れ上がっていくでしょう。
しかし、ブログなどの採用オウンドメディアは自社で運営し続けるものとなるため、そこまで高額な費用はかかりません。
適切な情報発信を行うことによって、限られた予算の中でも、高い効果を発揮できる可能性があります。
新鮮な情報をリアルタイムに発信できる
ブログなどのオウンドメディアは、企業の最新情報をタイムリーに発信するための理想的なプラットフォームです。
社内のイベントや新たなプロジェクトの動き、社員の声などをリアルタイムでシェアすることにより、企業の活動がダイレクトに伝わります。
求職者に対して、いつでも自社の最新の魅力をアピールできるため、お互いのコミュニケーションを深めやすくなります。
コンテンツが自社の資産として残る
採用オウンドメディアのコンテンツは、一度作成・発信すれば長期間にわたって活用することができます。
通常の求人広告の場合、決まった掲載期間を過ぎれば情報は削除されてしまいます。
しかし、自社で保有するブログ記事や動画などは自ら消さない限りは残り続けるため、長期的なブランド構築や情報提供に役立ちます。
もちろん、一度作ったコンテンツを再編集して別の形で発信しなおすことも可能です。
積み上げたコンテンツを企業の資産として扱うことで、長期的により良い採用活動を行うことができるでしょう。
採用オウンドメディアのデメリット
採用オウンドメディアでは数多くのメリットを享受できますが、デメリットといえる要素がまったくないわけではありません。
以下で、採用オウンドメディアを運用する場合のデメリットを紹介します。
各要素についてどのような対策を講じることができるのかについても説明するので、参考にしてみてください。
初期費用がかかる
採用オウンドメディアを構築する際には、初期段階に一定の費用がかかります。
費用の例としては、ブログ・SNSなどに掲載するためのコンテンツの企画・設計にかかる費用や、採用サイト・採用LPの構築費、動画制作費などが挙げられます。
オウンドメディアの種類は多岐にわたり、それぞれ必要なリソースが異なります。
そのため、初期費用の見積もりを明確にして、計画的に予算を設定しておくことが重要です。
いきなり多くのメディアに手を付けずに、段階的に構築することで初期負担を軽減する方法も検討するとよいでしょう。
効果が出るまでには一定の時間がかかる
採用オウンドメディアによる発信は、即時的に大きな成果を出すことが難しいという特徴があります。
たとえば、ブログを運用する場合、SEOによってアクセス数を増やすためには、継続的にユーザーニーズに沿う情報を更新し続ける必要があります。
また、SNSアカウントの運用についても、フォロワー数は一朝一夕で大きく増えるものではありません。地道に有益な情報発信を続けて認知度を高める工夫が不可欠です。
求職者のアクセスや反応を増やすためには、最低でも数か月程度はかかると考えておきましょう。
そのうえで少しでも早く効果を出していくためには、ブログやSNSなどの多様なチャネルを組み合わせ、ターゲット層に積極的にアプローチすることが重要になってきます。
マーケティングやコンテンツ作成などの専門知識・スキルが必要
オウンドメディアの構築には、マーケティングやコンテンツ制作などの専門知識が求められます。
そのため、これらに慣れていない企業や、そもそもノウハウ・スキルを持たない企業の場合、オウンドメディア運営に効果的に取り組んでいくことが難しい場合があります。
もし自社対応が難しいと考える場合には、外部の専門家や制作会社の利用を検討してみましょう。
プロに依頼すれば、オウンドメディア戦略の立案から企画・制作などを任せることが可能で、予算に応じた質の高いオウンドメディア運営を実行しやすくなります。
運用に手間やリソースがかかる
採用オウンドメディアの運用には、手間やリソースがかかります。
オウンドメディアで成果を出すためには、定期的なコンテンツ更新やユーザー対応が欠かせないからです。
また、作ったら終わりとは考えず、「効果測定」や「改善」を継続していくことで、より良い効果が出しやすくなるのも採用オウンドメディアの特徴です。
そのため、オウンドメディアに着手する際には、事前に運用体制も検討したうえでプロジェクトの計画を立て、着実に進めていきましょう。
採用オウンドメディアの種類・コンテンツとは
ここからは、企業の採用活動で活用されるオウンドメディアの種類やコンテンツについて紹介します。
基本的には「ブログ形式の記事コンテンツ」を示すことが多いですが、広義では、他にもさまざまなオウンドメディアが存在します。
代表的な採用オウンドメディア:自社ブログ(採用ブログ)
一般的に、採用オウンドメディアというと、企業が自社で運営する「ブログ形式の記事コンテンツ」を指すことが多いです。
「自社ブログ」や「採用ブログ」と呼ばれることもあります。
こうしたブログでは、一般的に以下のようなコンテンツを発信します。
- 社員インタビュー(現場で活躍する社員の声、仕事に対する思い・働き方など)
- 自社製品・サービスのこだわりと強み
- 自社が属する業界の最新情報やトレンド、自社が得意とする技術的な情報について
- オフィスや自社の施設・設備(工場・研究所などを含む)の紹介
- 福利厚生の種類や内容、ワークライフバランスを含めた働き方について
- 社内のイベントや活動の模様の報告・紹介
採用担当者が自身の視点から記事をまとめることもあれば、現場で活躍する社員にインタビューをし、Q&Aなどのインタビュー形式の記事に仕上げることもあります。
このほか、IT・Web関連の企業がよく発信する「技術ブログ」も、採用活動を目的としてよく活用されています。
技術ブログでは、自社の技術力や開発スタイル、エンジニアをとりまく文化を詳しくPRできるため、エンジニア職の採用を強化したい企業に適した情報発信のスタイルです。
このような採用オウンドメディアとして運営されるブログの特徴・メリットは、自社の価値観や文化、仕事や人に対する思いなどを表現豊かに伝えられることです。
求職者にとっては、求人広告や求人情報だけでは掴みづらい、企業のリアルな雰囲気や様子に触れることができるため、企業理解がさらに深まります。
広義の採用オウンドメディア
ブログのほか、以下のようなメディアも自社で運営する以上、広義では採用オウンドメディアの一種と捉えることができます。
採用サイト
採用サイトは、企業が自社の採用に関する情報をまとめて掲載したWebサイトのことです。
通常、ブログのように頻繁に更新することはないですが、「企業自身が運営する」という観点では、オウンドメディアの一種ともいえます。
採用サイトでは、企業の概要や働く環境、福利厚生、求人情報、採用プロセスなどを詳しく紹介するため、幅広い求職者が企業についての情報を集めるうえで役立ちます。
また、企業のブランド構築や、求職者を引きつけるための重要なツールとしても活用されます。
採用LP(ランディングページ)
通常の採用サイトが複数のページで構成されるのに対し、採用LPでは、一般的に採用関連の情報を1ページにまとめて作ります。
たとえば、企業が独自の採用活動を展開する際や、特定の職種の応募数を増加させたいときなどに、印象的で効果的な採用LPが採用されることがあります。
採用LPでは、採用サイトよりも更に焦点を絞った形で情報を提供することで、求職者に企業や仕事についての理解を深めてもらい、応募モチベーションを高める役割を果たします。
最終的には「応募」の具体的なアクションにつなげることを目指すため、求人広告のリンク先としても利用されることが多いです。
会社説明会資料・採用ピッチ資料
会社説明に使う資料も、オウンドメディアの一種といえます。
説明会資料では、会社としての魅力や特徴、業界での立ち位置や将来性、事業内容などを端的にまとめます。
また、会社説明資料の内容を、求職者向けにより詳しく説明したものを「採用ピッチ資料」といいます。
採用ピッチ資料では、自社の魅力や強みなどの良い面はもちろん、現在抱えている課題など、自社の現状をありのままに伝えることを重視し、求職者に対してより深い理解・共感を促します。
会社案内パンフレット(採用パンフレット)
会社案内パンフレットは、企業の信念、ミッション・ビジョン、事業やサービスの概要、歴史、組織構造などをまとめた冊子です。
採用オウンドメディアの多くは「オンライン」の自社メディアですが、広義では、自社で制作・発行するオフラインの紙媒体もオウンドメディアの一種といえます。
会社案内パンフレットは、自社のブランディングやPRをはじめ、営業や採用活動など、多岐にわたる目的で利用されています。
デザインやレイアウトなどの要素を工夫することで、コーポレートサイトとは異なるアプローチで、企業の独自性や強みを表現することができます。
ソーシャルメディア(SNS)アカウント
ソーシャルメディア(SNS)は、基本的にはユーザーや消費者が情報を発信する「アーンドメディア」に分類できます。
ただし、企業が運用するSNSアカウント(X<旧Twitter>・Facebook・Instagram・YouTube・LinkedInなど)については、採用オウンドメディアの一種とみなすことができます。
SNSアカウントの運用によって、企業はリアルタイムで多様な情報を発信し、フォロワーや求職者とのコミュニケーションや信頼関係を強めることが可能です。
また、SNSではより多くのユーザーにリーチできることから、認知拡大や潜在層との接点づくりにも効果的です。
採用オウンドメディアの始め方
いざ採用オウンドメディアを運用したいと考えた場合、どのようなステップで動けばよいのかを説明します。
各ステップのポイントもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
採用の目的とターゲットを明確にする
まずは、自社の採用活動でオウンドメディアを導入する目的を明確にしましょう。
たとえば、「優秀な人材の獲得」「マッチング率の向上」「自社の魅力をより多くの人々にアピールする」などが挙げられます。
また、どんな人材を引き寄せたいかを考え、その特徴や志向性、行動パターンを洗い出しましょう。
ターゲット像をできるだけ具体的にすることが、効果的なオウンドメディア戦略を立てていくうえで大事です。
自社の魅力と特徴を明確にする
次に、自社のカルチャーや働き方、価値観を整理し、それをわかりやすく示す要素を検討しましょう。
競合他社との差別化ポイントや自社ならではの魅力を明らかにし、アピールポイントとして言語化しておきます。
自社の強みを見つけるためには、社員にアンケートを行うのもよいでしょう。
KGI・KPIを決める
採用オウンドメディアを効率よく運用し、高い効果を発揮させるために、事前に「KGI(Key Goal Indicator)」と「KPI(Key Performance Indicator)」も設定しておきましょう。
KGI・KPIをそれぞれ言い換えると、最終的に到達したい目標(ゴール)と、最終目標に至るための中間目標を意味します。
KGIの例としては、「採用応募者数の増加(〇件)」「次年度までに採用人数〇人達成」などが挙げられます。
そのKGIを達成するために設定するKPIの例としては、記事数、PV数、SNSでのシェア数などが挙げられます。
これらを設定しておくことで、オウンドメディアが効果的に運用できているかを都度チェックしやすくなり、目標に近づくためのPDCAサイクルを回しやすくなります。
具体的な発信内容と発信方法を決める
続いて、コンテンツ戦略の具体的な計画や構築段階に進みます。
ブログやSNS、Webサイト(採用サイト)、動画など、使用するプラットフォームや媒体を選定し、各メディアのメリット・強みを活かすコンテンツを考えていきます。
オウンドメディアは表現方法の幅が広いです。求職者に響かせるためには情報をどう伝えればよいか、必ず「求職者視点」をもって考えていきましょう。
オウンドメディアを制作する
いよいよオウンドメディアの制作段階に進みます。
自社で制作することも可能ですが、必要なスキルやリソースが不足している場合は、外部の制作会社や専門家への依頼を検討しましょう。
ブログなどのオウンドメディアでは継続的な発信が重要になるため、社内で対応する場合は、十分なリソースが確保できるように、余裕をもった計画を立てておくことをおすすめします。
採用オウンドメディアを効果的に運用するためのポイント
採用オウンドメディアで高い効果を出すためには、ただメディアを作るだけではなく、戦略的かつ効果的な運用が大事になってきます。
ここでは、採用オウンドメディアを最大限に生かすためのポイントを紹介します。
中期的な視点で運用計画を立てる
採用オウンドメディアの成功には、長期的な視点で戦略を検討することが欠かせません。
前述した通り、オウンドメディアではその性質上、即時的な効果が出しにくく、コツコツと運用を続ける行為が不可欠だからです。
具体的な目標や計画を踏まえて数か月から数年の展望を持つことで、自社の認知やブランドの向上などが確実に高まり、持続的な成果を出しやすくなります。
また、オウンドメディアを運用し続ける中では、採用市場のトレンドや変化を的確に把握することも大事です。戦略には柔軟性を持たせておきましょう。
社内の運用体制を整えておく
採用オウンドメディアを効果的に使うためにも、運用についての担当者・チームを計画しておきましょう。
決まったメンバーが運用に携わることで一貫性のあるメッセージを発信できますし、少しずつ社内にノウハウが溜まり、より効果的な運用を行いやすくなるでしょう。
また、オウンドメディア運営にあたっては、コンテンツ作成時のインタビュー協力などで、他部署と連携しなくてはならない場面が多いです。
採用チームだけではなく、会社全体で取り組む意識をもっておくことが大事です。
求職者が求めるコンテンツを更新し続ける
採用オウンドメディア運営では、ブログや動画、SNSでのメッセージなど、さまざまなコンテンツ発信によって求職者の多様なニーズに対応し、興味を引き続けることが重要です。
自社の新たなニュースや伝えたいことはもちろん、「求職者がどんな情報を欲しているのか」の視点を忘れずに、魅力的なコンテンツ企画を立てて実行していきましょう。
ただ正しい情報を発信するだけでなく、求職者の心を動かすためのコンテンツを作ることが、採用オウンドメディアで効果を出すためには欠かせません。
KGI・KPIをもとに効果測定と改善を繰り返す
採用オウンドメディアを運用する際には、「採用オウンドメディアの始め方」でも説明したように、KGIとKPIを具体的に設定しましょう。
KGI(重要目標達成指標):主要な目標を示す指標。長期的な成果やビジョン、進むべき方向性を示します。
<例>一定期間内に企業の印象を向上させる、特定の人材層の獲得など
KPI(重要業績評価指標):戦略や目標に対する実際の成果や進捗を定量的に評価するもの。戦術的なレベルでの達成度を示します。
<例>アクセス数、応募者数、コンテンツのシェア数、内定率など
採用オウンドメディアで効果を出すためには、設定したこれらの指標をもとに定期的にメディアの分析をし、評価や改善につなげるPDCAサイクルを回すことが重要です。
たとえばブログや採用サイトであれば、「Google Analytics」などの専用ツールを使ったアクセス解析を行うとよいでしょう。
効果が不十分な場合は戦略やコンテンツを見直し、改善する工程を繰り返すことで、よりスピーディーに目標達成に向けて進むことができます。
まとめ
採用オウンドメディアは、少子化により採用活動が厳しくなっている現代社会において、マッチング精度を高めるために非常に効果的なツールといえます。
また、就職・転職に対する意欲があまり高くない潜在層に対してもリーチできるため、より多くの人材と出会い、採用のチャンスを増やす目的で積極的に活用する企業が増えています。
採用オウンドメディアを活用すれば、採用担当者の負担軽減や採用コスト削減にもつながります。
しかしながら、採用オウンドメディアは即効性を求めづらく、短期間で大きな効果を出すのは難しい場合が多いです。
継続的に運用を続けることが不可欠であるため、中長期的な視点で目標と計画を立て、オウンドメディア運営に必要な人員や予算を確保しておきましょう。