求職者が採用サイトを訪れたとき、最初に目に入る画面(トップ画面・ファーストビュー)の印象は非常に重要です。
最初の画面が魅力的であれば、求職者の興味や関心が高まり、サイトからの離脱を防ぐ効果が期待できるためです。
実際に、最近では「求職者に魅力的な印象を与えたい」といった目的で、採用サイトのトップ画面やファーストビューに動画を使用する企業も増えています。
この記事では、トップ画面・ファーストビューの動画が印象的な採用サイトの事例を、動画を活用するメリットや注意点とあわせて説明します。
採用サイトのトップ画面・ファーストビューで動画を使うメリット
採用サイトの「トップ画面(Webサイトの入口となるメインページ)」や「ファーストビュー(トップページでスクロールをせずに最初に目に入る部分)」で動画を使うことには、主に2つのメリットがあります。
- 情報を素早く伝達でき、興味や関心を持ってもらいやすい
- 企業のリアルな雰囲気や文化を伝えられる
動画の大きなメリットは、情報を素早く伝えられることです。
情報の伝達スピードに関しては、文字情報よりも画像(静止画)、さらに静止画よりも動画(映像)のほうが、情報を短時間でより多く伝えられることがわかっています(※)。
また、人間の視覚を大いに刺激する動画は、見る人との間に「感情的なつながり」をもたらす力もあります。
そのため、採用サイトのトップ画面やファーストビューの動画で求職者を惹きつければ、そのまま離脱することなく、サイトの中までしっかりと読み進めてもらえる可能性が高まります。
さらに、動画は企業の雰囲気や文化を伝えるうえでも効果的です。
そもそも採用サイトとは、ただ求人情報を提供するだけでなく、企業の魅力や文化を伝え、求職者に自社への関心を高めてもらうことを目的とする媒体です。
動画を通じて自社の世界観やブランドイメージを提供すれば、求職者の心に、より強い印象を残しやすくなります。
トップ画面・ファーストビューの動画が印象的な採用サイトの事例
ここからは、トップ画面やファーストビューの動画が印象的な採用サイトの事例を紹介します。
各社の動画の内容や表現はさまざまなので、ぜひサイト制作時の参考にしてみてください。
株式会社メトロアドエージェンシー
指定されたIDの投稿は見つかりませんでした。東京メトログループの広告会社として、交通・新聞・雑誌・インターネット等の幅広い広告企画および制作などを手掛ける会社です。
同社の新卒採用サイトを訪れると、「BEYOND TOKYO FUTE」の大きなコピーが目に飛び込み、あわせて立体的なブロックで構成された動画がスタートします。
青色を基調に、求職者に向けた力強いメッセージと、その背景で動き続けるアニメーションが印象的です。
トップ画面には、自社が手掛けるビジネスを紹介する1分程度のショートムービーも掲載されているため、求職者が企業について簡単に理解を深められます。
その先も、スクロールするごとに次々に画像が飛び込むアニメーションなど、思わず手を動かして先に進みたくなる工夫が盛り込まれています。
モバーシャル株式会社

モバーシャル株式会社は、動画制作のスペシャリスト集団として、デジタルに特化した動画制作や動画活用に関する事業を展開する会社です。
同社の中途採用サイトを訪れると、社名である「MOBERCIAL」の文字が出た後に、一つひとつの文字に重ねて社員と思われる人々の姿が登場します。
そのままさらに動画は続き、自社の特徴や強みなどを伝えるいくつかのキャッチコピーが、映像と合わせてスピーディーに現れます。
また、トップ画面の「HISTRY」コンテンツ部分では、テキストの背景に社内の様子などを映した動画も公開。
映像制作会社ならではのクリエイティビティあふれる採用サイトとなっています。
株式会社ビーワークス

株式会社ビーワークスは、広告や出版物、Webサイト、アプリなど、あらゆる分野のデザインの企画や制作を行うデザイン会社です。
同社の新卒採用サイトでは、ファーストビューで「デザインで世のなかを動かす」のキャッチコピーが中央にふわっと表れ、その背景では社内の様子などを映し出した映像が流れます。
また、同じ箇所には「ビーワークスが作ったものを見る」ボタンも設置。
ボタンをクリックすると、自社が企画・制作した製品やサービスを紹介するショートムービーが見られるつくりになっています。
決して派手なアニメーションはありませんが、「さすがデザイン会社」と感じさせる、企業の魅力や洗練されたイメージが伝わってくるサイトです。
株式会社PIVOT

株式会社PIVOTは、Webサイト構築やシステム開発をはじめ、デジタル領域のデザイン・開発を手掛けている会社です。
採用サイトのトップ画面でまず目に飛び込むのは、社員たちが同じ机を囲み、パソコンを使った業務や打ち合わせなどをしている姿を定点観測的に録画し、早送りにした映像です。
社内の日常風景を映し出す動画によって、オフィスの雰囲気や空気感、働く人の様子などのリアルを覗き見ることができます。
募集要項やエントリーを覗いた基本的なコンテンツは1ページで構成され、トップ画面のメニューから該当箇所に飛べるようになっています。
株式会社エクスモーション

株式会社エクスモーションは、自動車業界などのソフトウェア開発のコンサルティング・人材育成サポートを手掛けている会社です。
採用サイトを開くとまず出てくるのは、都会の街を見下ろすキャラクターのアニメーションに加え、「問題を俯瞰できますか?」と問いかけるテキストと「YES」と書かれたボタン。
そのままボタンを押すと画面が切り替わり、採用メッセージや仕事紹介などの各種コンテンツが見られるようになっています。
トップ画面のファーストビューには、自社の紹介動画や360VRによるオフィス風景、ガイドブックなどのページに飛ぶボタンも設置するなど、求職者の好奇心や興味をそそるような工夫がふんだんに盛り込まれています。
このような、サイト訪問者との「双方向性(インタラクティブ)」を重視するコンテンツは、昨今の採用サイトのトレンドの一つとなっています。
アンファー株式会社

アンファー株式会社は、育毛シャンプーなどのエイジングケア化粧品や、健康食品の製造・販売事業を手掛ける会社です。
同社の新卒採用サイトのトップ画面では、コーポレートカラーでもある水色を基調に、オフィスで過ごす社員たちの日常風景動画が映し出されます。
また、動画に重なる手書き風の文字も印象的で、「あなたの未来 我々も想像できていません」というキャッチコピーは、求職者に「どういうこと?」と思わせ、自然と続きを読ませる効果が期待できるでしょう。
トップページには「未来のわたし診断」などのユニークなコンテンツもあり、企業の強み・独自性がよく表現されています。
株式会社王将フードサービス

株式会社王将フードサービスは、京都府京都市に本社を置き、日本全国や海外で中華料理チェーン店「餃子の王将」を展開する企業です。
同社の採用サイトのトップ画面では、同社の「顔」ともいえる店舗の厨房の様子や、商品の製造工程を映し出した動画を掲載しています。
また、動画の上には「動画で知る王将の働き方」ボタンも設置。クリックすると社員インタビューの動画コンテンツページに飛ぶようになっています。
トップの動画からさらにスクロールしていくと、自社が世の中に対してどんな価値を提供していきたいのかという「想い」や、求職者に向けたメッセージが表れます。
これらのコンテンツを通じて自社のイメージをしっかりと伝えたうえで、「仕事紹介」や「社員の声」といった詳細なコンテンツ(ページ)へ案内するようなつくりになっています。
日鉄鉱業株式会社

日鉄鉱業株式会社は、日本で数少ない「鉱業」を営む総合資源会社として、石灰石の採掘や銅鉱山の開発などを手掛けています。
同社採用サイトのトップページを訪れると、まずは黒背景に「ENTER」のボタンと、音声が流れることを伝える簡単な注意書きが表示されます。
ボタンを押して進むと、美しく印象的な風景の動画にあわせ、日鉄鉱業の各鉱業所で歌い続けられてきたという歌が流れてきます。
最近はスマホでWebページの閲覧をする人も多いため、採用サイトのファーストビューで動画を使う場合、急に音が鳴ってユーザーを困らせないようにサウンドは付けないことが多いです。
しかし、企業の雰囲気をより詳しく伝える目的などで音声付きの動画を流したい場合には、同社のように注意書きなどのワンクッションを挟むか、「オフ/オン」を切り替えできるボタンを見やすく設置しておくと親切です。
採用サイトのトップ画面・ファーストビューで動画を使う際の注意点
採用サイトのトップ画面・ファーストビューで動画を使用するにあたり、とくに注意したいポイントを2点説明します。
動画は長くせず30秒以内を目安にする
まず注意したいのは、動画の尺(長さ)です。
一般的に、Webサイトの訪問者は、ファーストビューやトップ画面を何十秒もじっくり見ることはしません。
また、動画で相手の心を掴めるかどうかは「最初の3秒が勝負」ともいわれます。
そのため、採用サイトの冒頭に載せる動画では、できるだけ短い時間(目安は20秒~30秒以内)で求職者の関心を引き、核心を伝える情報を届ける必要があります。
たとえば、長い動画を全部見ないと先へ進まないような設計にしてしまうと、求職者は飽きて、サイトからすぐに離脱してしまう可能性が高まります。
また、動画の容量が重くなるとページの読み込み時間が遅くなり、ユーザーの利便性を損なうデメリットもあるため、その点もあわせて気をつけてください。
求職者に伝えたいメッセージ・企業イメージに合う内容にする
動画の内容についても、慎重に考える必要があります。
トップ画面やファーストビューの動画は、良くも悪くも見る人に強い印象を与えます。
そのため、動画の内容を企画する際には、あくまでも企業の魅力や文化を伝えることを念頭に置き、自社のブランドイメージや求職者に伝えたいメッセージに合致するかどうかをよく考えましょう。
「おや?」と感じるような一風変わった動画を載せて求職者に興味を持たせる方法もありますが、目的がなかったり、意図がよく伝わらなかったりする動画ではあまり意味がありません。
その動画が本当に求職者にとって魅力的かどうか、動画にどんな意味を持たせるのかをしっかりと考えて、制作を進めていきましょう。
まとめ
採用サイトのトップ画面・ファーストビューで動画を活用すれば、求職者に対して強い印象を与えるとともに、企業の魅力や雰囲気を伝えることができます。
ただし、トップ画面やファーストビューは通常じっくりと見られる箇所ではないため、いかに短い時間でインパクトを与えられるかが重要です。
まずは「自社が誰に、何を伝えたいのか?」といったメッセージや採用の目的を明確にし、効果的な動画を作成していきましょう。