求職者が就職・転職先選びをするにあたり、とくに詳しく知りたいと考える情報のひとつが「仕事の詳しい内容」です。
「この企業ではどのような仕事ができるのか？」を求職者に理解してもらうために、採用サイトでは、自社の事業内容と具体的な仕事の情報をわかりやすく伝えていくことが重要です。
本記事では、採用サイトに不可欠な「事業紹介」のコンテンツをつくる必要性やメリット、作成手順を解説しています。
情報を魅力的に伝えるポイントもあわせて説明するので、採用サイトのコンテンツ作成時にぜひお役立てください。
採用サイトの「事業紹介」とは
採用サイトにおける「事業紹介」コンテンツとは、企業が展開する主要な事業や、提供している商品・サービスに関する情報を説明するページやセクションを指します。
事業内容コンテンツに含む主な情報は、下記の通りです。
- 事業分野の紹介
- 業界内での自社の立ち位置
- 提供する商品・サービスの概要
- 最新のプロジェクトや取り組み
- 顧客や取引先の紹介
求職者に向けて、「自社がどのような事業を営んでいるのか」や「社会にどのような価値を提供しているか」といった内容をわかりやすく伝えることが、事業内容コンテンツの主な目的です。
事業紹介を公開するメリット・必要な理由
採用サイトにおいて、事業紹介は最も注目されるコンテンツのひとつです。
企業がどのような事業を展開し、世の中にどれだけの価値を提供しているのかといった情報は、求職者が就職・転職先を決めていくうえで非常に重要な要素となります。
事業に関する詳しい説明を「コーポレートサイト（会社ホームページ）」に掲載する企業は少なくありませんが、コーポレートサイトがある場合でも、採用サイトには必ず事業紹介を掲載するようにしましょう。
株主や顧客、取引先をはじめとした幅広いステークホルダーに情報を届けるコーポレートサイトの説明では、求職者にとっては内容が理解しづらい場合があるためです。
とくにBtoB企業の場合、学生や社会人経験が少ない求職者にとっては業界構造や事業内容が複雑で、理解し難いケースが少なくありません。
求職者に向けてわかりやすい事業紹介コンテンツをつくることは、求職者の企業理解を促し、応募を増やすためにも非常に重要です。
事業紹介を魅力的につくるポイント
ここからは、採用サイトの事業紹介コンテンツを実際に作成する際の手順と、とくに大事なポイントを解説します。
作成手順
最初に、事業紹介コンテンツの目的を明確にします。
自社の事業内容を伝えるとともに、求職者にどんな魅力や価値を理解してもらいたいかを考えましょう。
また、事業紹介は求職者が求める情報や興味を考慮して作成することが重要であるため、自社の採用ターゲットをあらためて明確にしておきましょう。
各事業に関与する部門のリーダーや、担当者などへのヒアリングやインタビューを通じて、事業や業務内容に関する正確な情報を得ましょう。
社内のさまざまな視点を意識することで、よりリアルで具体的な情報が集まります。
収集した情報をもとに、実際にサイトに掲載するコンテンツを作成していきます。
一般的にはテキストが中心となりますが、できるだけ視覚的な要素（画像や図表など）も取り入れましょう。
テキストとビジュアルをバランスよく組み合わせることで、情報が伝わりやすいコンテンツになります。
完成したコンテンツは、経営層や各部署の担当者などにレビューしてもらい、必要に応じて修正を行いましょう。
より正確で多角的な情報を届けるためにも、できるだけフィードバックを受けておくことが重要です。
ポイント
企業独自の強みを見つけて伝える
事業紹介コンテンツは、「自社の強み」を軸に作っていくことが大事です。
競合他社よりも優れている点や、自社ならではの魅力・特徴を打ち出すことが他社との差別化になり、求職者にも強い印象を与えます。
直近の取り組みも積極的に公開する
事業紹介をつくる際には、自社の最新の動向や新しいプロジェクト、取り組みにも焦点を当てましょう。
過去の実績や評価を載せることは企業の信頼を生みますが、それだけでは将来性を感じてもらうのが難しい場合があります。
直近の事業の成果や挑戦中のプロジェクトなども紹介すると、企業の勢いや成長性が伝わり、求職者を惹きつけやすくなります。
事業紹介をつくるときの注意点
ここでは、採用サイトでの事業紹介コンテンツの作成時に注意すべきポイントを説明します。
求職者を惹きつけるコンテンツづくりをのために、以下の点に気をつけながら作成を進めてください。
視覚的要素も取り入れてわかりやすく伝える
事業紹介のコンテンツでは、業界構造や扱っている商材の説明をしようとすると、どうしても表現やトーンが堅苦しくなってしまいがちです。
しかし、求職者に「情報がわかりづらい・難しい」と感じさせてしまうと、求職者はそのまま企業への興味を失ってしまうかもしれません。
だからこそ、本コンテンツでは求職者に興味を持ってもらえるよう、他コンテンツ以上に「わかりやすく伝える意識」をもって作成することが重要です。
文章だけで説明するのではなく、図表や画像などの視覚的な要素も取り入れると、求職者が複雑な概念を理解しやすくなります。
専門用語は極力使わないようにする
事業紹介コンテンツでは、どうしても専門用語が多用されがちです。
しかし、自社あるいは業界内で一般的に使っている言葉でも、求職者にはまったく理解できないこともあるため、言葉選びには十分に注意したいところです。
どうしても専門的な用語を使う必要がある場合には、簡潔な説明を付け加えるなどして理解を助けましょう。
事業紹介コンテンツの参考事例
ここからは、「事業紹介」コンテンツを公開している採用サイトの中から、とくに参考になる事例を紹介します。
日本ケミコン株式会社
株式会社日本ケミコンは、1931年に創業し、「アルミ電解コンデンサ」の製造で世界シェア20％を誇るメーカーです。
BtoB企業や、求職者にとってあまり馴染みのない製品を扱う企業の場合、求職者に向けて事業内容をいかにわかりやすく伝えるかが重要になります。
同社の事業紹介（事業概要）コンテンツでは、自社の歴史や強みについて、求職者にもわかりやすい言葉で端的に紹介。
また、自社製品がわたしたちの身近でどのように使われているのかをイラスト・グラフを用いて表現するなど、視覚的に理解できるように工夫されています。
事業領域についてはコーポレートサイトへの導線を設置することで、さらに詳しい情報を集められるように作ってあることも特徴的です。
株式会社ライセンスアカデミー
株式会社ライセンスアカデミーは、教育分野に特化した広告代理店として、高校生の進路支援を軸に、イベントの企画運営・メディア制作などを手掛けている会社です。
同社の採用サイトでは、自社の事業内容およびクライアントとの関係性・立ち位置について主に図で紹介し、文字情報は図を補完するような形で作成されています。
また、過去の実績や拠点数などのデータは、数字を大きく見せて具体的に伝えているのも特徴的です。
全体として視覚的にインパクトのあるページデザインとなっており、見る人に強烈な印象を与えます。
株式会社揚羽
株式会社揚羽は、企業のブランディングに関わる企画からクリエイティブまでを一貫して手掛けている会社です。
採用サイトでは、事業内容を「揚羽のビジネスモデル」として紹介。
自社の特徴・強みを端的かつ具体的に表現し、求職者がイメージしづらい専門用語・業界用語は、丁寧に補足して求職者の理解を助けています。
シンプルかつメリハリのある色使い・文字サイズの選び方や、図とテキストを組み合わせた見せ方は、さまざまな企業にとって参考にできるでしょう。
株式会社 日立インダストリアルプロダクツ
株式会社 日立インダストリアルプロダクツは、大手電機メーカー「日立グループ」の一員として大型産業機器事業を展開する会社です。
同社の採用サイトの特徴は、自社の技術力や事業規模の大きさを存分に伝える構成になっていることです。
「事業について」コンテンツでは、「世界の難題に挑むプロダクト」としてスケールの大きなプロジェクトを複数紹介。
印象的なキャッチコピーと合わせ、自社の技術・製品が社会にどう役立っているのかをイメージしやすいように作られています。
また、各事業分野の詳細ページは、関連するプロジェクトストーリーにも飛べるように設計。求職者の仕事理解を助けるとともに、企業への関心をさらに高められるようになっています。
株式会社大京
株式会社大京は、主力ブランド「ライオンズマンション」をはじめとする不動産の開発や販売、都市開発事業などを手掛ける会社です。
採用サイトでは不動産会社らしさを打ち出し、各コンテンツを「〇〇の部屋」と名付けて構成。
「事業の部屋」では、各事業分野の概要説明のほか、仕事の大まかな流れも紹介することで、求職者が事業をより具体的にイメージできるように工夫されています。
また、同社の採用サイトには「1分でわかる」コンテンツや「ショート動画」も掲載されており、短時間で企業の特徴や魅力が伝わりやすいサイトといえるでしょう。
株式会社 一ノ瀬
株式会社一ノ瀬は、「バルブ」の専門会社として、メーカー・商社・システム開発の3つの機能を備え、事業を展開しています。
採用サイトの事業紹介については、「初心者でも分かるバルブの世界」コンテンツを掲載。
求職者には馴染みが薄いであろう自社商材について、一から魅力を実感してもらい、親近感を持ってもらうための工夫がふんだんに盛り込まれています。
「あまり知られていない製品・サービスの魅力をどう伝えるか」といった点でお悩みの企業には、とくに参考になるでしょう。
藤沢工業株式会社
藤沢工業株式会社は、1964年創業、岐阜県のオフィス家具メーカーです。
採用サイトでは「藤澤工業のホント」として、地域に根ざした小規模な会社としての親しみやすさだけではなく、歴史に裏打ちされた高い技術力や新たな事業への挑戦など、自社の強みを5つピックアップして具体的に伝えています。
「数字で見る藤澤工業」コンテンツなども通じて、企業の特徴と魅力がわかりやすくまとまっているサイトです。
派手なアニメーションなどは取り入れず、シンプルなサイトを目指している企業には、参考になる点も多いでしょう。
株式会社KADOKAWA
株式会社KADOKAWAは、出版のほか、映像・ゲーム・Webサービスといったコンテンツを中心に、さまざまな事業を展開するエンターテインメント企業です
同社の採用サイトでは、「BUSINESS」ページにおいて、「5分でざっくりつかむ、KADOKAWAのビジネス」として事業の概要を紹介しています。
そこでは、自社が属するコンテンツ産業の可能性や、ビジネスの強み、今後チャレンジしていくことなどを、スライド風にまとめていることが特徴的。
求職者が楽しく読み進めながら、企業について知識を深めていけるように工夫されています。
自社に関する重要なポイント・魅力をいかにまとめ、視覚的にわかりやすく伝えるかといった点は、多くの企業にとって参考になるはずです。
まとめ
採用サイトにおける事業紹介のコンテンツは、求職者に適切な企業選びをしてもらうための必須コンテンツです。
しかし、業界構造や商材の説明などは説明が難しくなってしまいがちなため、常に求職者視点を持ち、求職者がきちんと理解できるコンテンツをつくることが重要です。
事業紹介コンテンツには多くの求職者が注目するため、わかりやすく魅力的な情報を提供できれば、求職者を惹きつけるのに役立ちます。
自社独自の魅力を明らかにして、他社との差別化を図りながらコンテンツを作成してください。
