求職者に向けて企業情報を発信する採用サイトで、積極的に公開したい情報のひとつが「評価制度」です。
「その企業でどう評価され、どのように成長できるのか」は、多くの求職者が気にするポイントであるため、サイトを通じて確かな情報を届けて求職者の不安を解消すると同時に、自社に対する魅力を感じてもらいましょう。
本記事では、採用サイトで評価制度コンテンツをつくる必要性と、作成の手順・注意点などを解説しています。
採用サイトの「評価制度」コンテンツとは
採用サイトの「評価制度」コンテンツとは、企業が社員の職務の成果やパフォーマンスを測定して、評価するための制度と、そのプロセスに関する情報を提供するページやセクションを意味します。
評価制度コンテンツに含まれる情報としては、社員の成果や行動に対する評価、フィードバックの方法、昇進のプロセス、給与改定などがあります。
採用サイトで評価制度を公開することにより、求職者には自社の評価の仕組みを把握してもらい、入社後の働き方・成長を具体的にイメージできるようにすることを目指します。
評価制度コンテンツを公開するメリット・必要な理由
採用サイトで評価制度コンテンツを公開することには、主に以下のようなメリットがあります。
- 求職者の不安が払拭され企業への信頼が強まる
- 求職者自身のキャリアイメージが具体的になる
- 企業としての魅力が高まる
評価制度をオープンに公開することで、求職者は昇給・昇進をはじめ、キャリアステップに関する企業の透明性を感じやすくなります。
これにより、「入社後にきちんと評価してもらえるだろうか」という不安が減り、企業への信頼が高まります。
また、個々のスキルや経験がどれだけ評価されるかを理解することで、おのおのがキャリアの方向性をより具体的にイメージしやすくなります。
結果として、自社にフィットする人材を引き寄せることができ、採用ミスマッチを軽減する効果も期待できます。
さらに、採用サイトで評価制度を明示することは、世の中に対する企業そのものの魅力のアピールにもつながります。
企業が社員の成長をサポートし、公正かつ透明な評価を行っているという姿勢が企業としての魅力を高め、中長期的に優れた人材の引き寄せや定着に役立つと考えられます。
評価制度コンテンツを魅力的につくるポイント
採用サイトにおける「評価制度」のコンテンツ作成手順と、魅力的につくるポイントを説明します。
作成手順
自社の評価基準や昇進プロセスに関する情報を集めましょう。
これには、各ポジションの役割や責任、スキルや実績の評価基準、昇進の条件などが含まれます。
収集した情報を整理し、各要素をわかりやすく説明する文章を考えます。
評価の流れやスケジュール、基準などを明確に示しましょう。
言葉遣いは明確でわかりやすいものにし、専門用語は必要最小限にとどめて、社内事情を詳しく知らない求職者でも広く理解できる内容にします。
前のステップで作成した文章を適切に配置しながら、サイトに掲載するコンテンツを作ります。
テキストを中心に、適宜グラフやチャートを活用して視覚的に見せることで、求職者がより理解しやすくなります。
過去の事例やキャリアパス例も交えながら抽象的な情報を具体的な実例と結びつけると、情報が生き生きとしたものになります。
ポイント
評価制度コンテンツでは、求職者が入社後の成長のイメージがわくように情報を伝えましょう。
「どのような評価を受けると、どれだけステップアップできるのか」を具体的に伝えることで、求職者はその企業で働くリアルなイメージを描き、希望を持ちやすくなります。
ただし、通常キャリアパスはひとつではないため、柔軟性も意識し、多様なキャリアの可能性を提示することが望ましいです。
評価制度コンテンツを公開するときの注意点
採用サイトで評価制度を公開する際に気をつけるべき点を紹介します。
コンテンツがより良い効果を発揮できるように、以下のポイントに注意しながら作成を進めてください。
実態に即した内容を伝える
評価制度を公開するにあたって重要なのは、実態に即した内容を伝えることです。
世間では、離職理由として「評価制度への不満」を挙げる人もいるほど、人事評価は社員に安心してモチベーション高く活躍してもらうための重要な要素です。
採用サイトで評価制度を公開する際には、正確な内容を伝えることはもちろん、どのような思いをもって制度を設計しているのかを、人材への期待感とともに丁寧に届けましょう。
また、情報を魅力的に伝えることは大事ですが、「いざ入社してみたら期待と違った…」などと誤解を招かないよう、一つひとつの表現にも十分に気をつけてください。
また、そもそも評価制度自体に曖昧な要素がある場合には、採用サイトを作成するにあたり、あらためて綿密に設計しておくことを推奨します。
企業からの一方通行にならないように注意する
評価制度を採用サイトで公開する際には、可能な限り透明性やオープンな評価スタイルをアピールし、求職者に心理的な抵抗感を抱かせないように注意が必要です。
一般的に「評価」と聞くと、求職者はどうしても身構えてしまうものです。
そこで、企業側の一方的で強固な評価姿勢が強く伝わってしまうと、求職者が不安を強くすることにもなりかねません。
昨今では、直属の上司から部下への一方通行的な評価で社員のモチベーションを下げないよう、多様性や双方向性を重視した「360度評価」などを取り入れる企業も増えています。
一方的な評価スタイルは求職者の意欲を下げてしまいかねないため、社員の成長や自己実現のためにサポートする姿勢や、きちんと対話・フィードバックをする取り組みなども含め、双方向を意識した伝え方を心がけるとよいでしょう。
評価制度コンテンツの参考事例
ここからは、「評価制度」コンテンツを公開している採用サイトの中から、とくに参考になる事例を紹介します。
株式会社ROBOT PAYMENT
株式会社ROBOT PAYMENTは、テクノロジーを活用し、インターネット決済や請求管理関連のクラウドサービスを提供する企業です。
採用サイトでは、「職場環境と制度」コンテンツのひとつとして「評価とキャリアパス」に関する情報を公開。
自社の人事評価に関する考え方を丁寧に伝えたうえで、イラストも用いながら「成果の評価」と「行動の評価」それぞれの軸について、具体的な評価の仕組みを説明しています。
あわせて、個人の努力をたたえる仕組みや、本人の希望に応じてジョブチェンジが可能といったキャリアパスの考え方もオープンに。
「自分らしいキャリアを築ける環境」づくりに取り組んでいることが、一貫して伝わりやすいコンテンツとなっています。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、「kintone」や「サイボウズOffice」など、組織のチームワークを支援するグループウェアを開発・販売する企業です。
同社の採用サイトでは、「職場を知る」ページ内の「給与と評価制度」コンテンツで、自社の給与の決まり方や、評価制度の特徴を公開しています。
本コンテンツでは、評価の目的から給与設定の基準などまで非常に詳しく、また細かな点まで具体的に説明していることが特徴的です。
たとえば、「給与改定に関して本人から会社へ希望を出せる仕組み」については、実際に社内で使用しているコミュニケーションツールの画面イメージもあわせて紹介。
企業としての透明性や、オープンな社風が伝わりやすいコンテンツとなっています。
ここまで具体的に見せることは難しい場合もあるかもしれませんが、ぜひ参考にしてみるとよいでしょう。
AJ・Flat株式会社
AJ・Flat株式会社は、愛知県名古屋市に本社を構え、ソフトウエア開発・ITソリューション事業を展開する会社です。
同社の採用サイトでは、自社の価値観や人材に対する思いを、インパクトのあるキャッチコピーをメインに表現しています。
「評価制度」については、主な評価軸・こだわりを中心に説明。
「社員が希望するキャリアに応じた評価をする」という同社の考え方を強く伝えるコンテンツとなっています。
株式会社フィードフォース
株式会社フィードフォースは、データフィードやデジタル広告などの分野を専門とし、企業の生産性を高めるための事業を展開する会社です。
同社の採用サイトでは、評価制度の仕組みを「キャリア」のコンテンツ内で紹介。
定期評価をしない「ノーレイティング」を採用していることを冒頭で伝え、具体的な評価の仕組みについて、図も用いながら詳しく解説しています。
等級ごとの給与レンジや等級審査のポイントなど非常に詳しく公開しているため、オープンな社風が伝わりやすいといえるでしょう。
あわせて、キャリア開発やスキルアップを後押しする制度についても載せることで、求職者が入社後の成長を前向きにイメージできるようなコンテンツになっています。
株式会社エーピーコミュニケーションズ
株式会社エーピーコミュニケーションズは、ITインフラ自動化のプロフェッショナルとして、システムインテグレーションやサービス開発などを手掛けている会社です。
同社の「新卒・キャリア採用 “インフラエンジニア”採用サイト」では、「キャリア・制度」コンテンツ内にて、サポート体制や教育制度とあわせて評価制度を紹介しています。
冒頭では評価制度の特徴をイラストで伝えたうえで、「評価制度の取り組み」「表彰・インセンティブ」「評価ポイント」について詳しく説明。
突き抜けた個性を持った人材が集まり、強い組織を作りたいという自社の考え方を存分にアピールしています。
活躍した社員を賞賛し、さらなる成長を後押しする仕組みも詳しく紹介しており、人材の働く意欲を引き出すようなコンテンツになっているといえるでしょう。
まとめ
求職者にとって、その企業でどのように活躍でき、どのようなキャリアパスが描けるのかは非常に気になる点です。
評価制度をオープンにすることは、求職者の不安を払拭するとともに、自社の透明性や魅力を広くアピールすることにもつながります。
その前提として、自社の評価制度を明確に設計したうえで、その内容・特徴を社外の求職者にもわかりやすく伝えていけるように準備していきましょう。