採用成功に欠かせない「自社の強み」の見つけ方とは? 具体的なステップと強みの生かし方も紹介

採用成功に欠かせない「自社の強み」の見つけ方とは?具体的なステップと強みの生かし方も紹介

企業が採用活動を成功させるためには、競合他社と比べて自社の優位な点を示す「自社の強み」を明らかにすることが欠かせません。

この記事では、自社の強みとは具体的にどんなものを指すのかや、自社の強みを見つけていく方法について、基本から解説しています。

また、見つけた自社の強みを採用コンテンツ・採用サイト制作に生かすポイントも紹介するので、採用ご担当の方はぜひ参考にしてください。

目次

自社の強みとは

「自社の強み」とは、ヒト・モノ・カネ・情報といった企業のあらゆる経営資源のうち、他社と比べて優位性のある要素を意味します。

この要素には、たとえば事業内容そのものや提供する製品・サービスのユニークさ、技術的な強み、ブランドの評価、組織文化などが含まれます。

なお、一般的に「自社の強み」は、以下の特徴を持ちます。

  1. 他社と比較して優れていること
  2. 独自性があること
  3. 持続的であること

1つめの「他社と比較して優れていること」は、とある要素を競合他社と比べた際に「自社がより優れている」とアピールできるかどうかが重要ということです。

たとえば、他社が提供するサービスや製品とほとんど同じものを、他社と同様のやり方で提供する場合、通常は自社の強みとはいえません。

この点は、2つめの「独自性があること」にも関連します。

他社の真似ではなく、自社の創造力・技術力などをもって他社に先駆けて価値提供できている場合や、一定の市場で確実に成長を続けている場合などは、自社の強みとしてアピールできる可能性が高いでしょう。

そして3つめの「持続的であること」も重要なポイントです。

一時的な要素も強みになり得るケースはありますが、一時的なものは市場変動や状況に影響されやすく、将来的な競争力の源にはなりにくいからです。

そのため、自社の強みを考える場合には、持続的で、かつ持続可能な要素が、より重要視される傾向があります。

企業が自社の強みを理解して有効に利用していくと、市場でのより強固な差別化や競争優位性を生むことにつながります。

これは、企業が持続的に成長・発展するために欠かせない要素のひとつです。

採用活動で自社の強みが重要視される理由

自社の強みは、企業が採用活動をスムーズに進めるうえでも非常に重要な要素です。

採用活動をするにあたり、自社の強みを明らかにしておくことには、大きく以下4つのメリットがあります。

以下で、各ポイントについて詳しく説明します。

自社に適した候補者を集めやすくなるから

自社の強みを世の中に積極的にアピールすることで、自社に適した候補者が集まりやすくなります。

たとえば、企業がもつ独自の文化や働きやすい環境、キャリアアップのチャンスなどが明確に伝われば、その価値観・方針などに共感する人材が引き寄せられます

こうしたアピールを続けることで採用プロセスが円滑に進みますし、入社後に長く力を発揮してくれる人材が採用できる可能性も高まります。

魅力的な情報・コンテンツを発信できるから

世の中の数ある企業の中から求職者に興味をもってもらうには、自社の強み、つまり競合他社と比較したときの自社の優位性(自社の強み)を適切に伝えることが欠かせません。

この自社の強みを伝えていくためには、魅力的でわかりやすい情報・コンテンツの継続的な発信が重要です。

採用サイトなどの適切なメディアを使い、きちんと考え抜いた自社ならではの魅力・特徴を伝えることで、求職者は企業に対する理解が深まり、積極的に応募する動機が生まれます。

採用ブランディングの構築ができるから

自社の強みを際立たせることは、採用ブランディングにおいても大きな影響を与えます。

企業の強みが明確であれば、企業のアイデンティティが強まり、求職者の信頼度や安心感も向上するためです。

昨今は、少子高齢化などによる労働力不足により、各企業は厳しい採用競争を迫られています。

そうしたなかで他社との差別化を促進し続けることは、直近の採用活動を成功させるための大事なポイントのひとつです。

加えて、中長期的に見ても自社の採用活動を円滑に進めるために、自社の強みを明らかにし、採用ブランディングを確立しておくことが効果的です。

既存社員のモチベーションアップにもつながるから

自社の強みをアピールすることは、既存の社員たちに対しても良い影響があると考えられています。

企業の魅力的な要素を強調することで、社員は自分が「この会社で働いていること」を誇りに感じ、仕事に対するモチベーションが向上します。

また、採用活動を通じて、自社の社風や文化にマッチする新たな仲間が加わることは、既存社員との交流やチームワークの向上にもつながります。

新しい仲間を採用するためにも、既存社員のさらなる活躍を促進するためにも、自社の強みを明らかにしておくことは重要です。


もし、これらのポイントを適切に押さえなかった場合、つまり自社の強みが曖昧な状態で採用活動を進めてしまうと、自社に適した人材を集めるのが難しくなり、採用ミスマッチが起こる可能性が高まります。

また、せっかく人材を採用できても、その後の内定辞退や定着率の低下につながってしまうかもしれません。

さらに、求人情報を発信する際にも求職者に対して効果的なPRや訴求ができず、採用の効率性が低下するなどの問題が発生しやすいため、注意が必要です。

自社の強みを見つける方法

このセクションでは、自社の強みを見つける具体的な方法を紹介します。

ポイントは、それぞれの手法を組み合わせて使うことです。

自社の強みは多岐にわたる要素から構成されているため、数値データだけでなく、社内の雰囲気や文化、顧客との関係なども考慮しましょう。

たとえば組織文化や社内の人間関係など数値では測りにくい要素も、他社より優れている点としてアピールできる場合があります。

客観的なデータと主観的な意見をあわせて検討していくことで、自社の優位性を明らかにし、より確かな強みを見つけることができます。

社内で調査・ヒアリングをする

自社の強みを見つける方法としてまず挙げられるのが、社内で調査・ヒアリングをする方法です。

各部署のメンバーやチームとコミュニケーションを図り、現場の視点や意見を収集します。

社員たちが企業の強みと捉えているポイントや、仕事の中でとくに得意と感じている領域をヒアリングすると、企業の内部からの強みを明らかにすることができます。

長く働いている社員に尋ねるだけではなく、内定者や新入社員、また選考応募者に「自社のどんな点を魅力に感じたか?」などのアンケートをとってみるのも効果的です。

さまざまな視点の声を集めることで、より幅広い観点から自社の強みが見つけやすくなります。

過去の成功事例を分析する

次に挙げられるのが、自社の過去の成功事例を振り返り、なぜ成功したのかを徹底的に分析する方法です。

この成功事例には、特定のプロジェクトのほか、新規製品やサービスの開発、マーケティングキャンペーン、特定のクライアントや市場での成功など、さまざまなものが考えられます。

それらの成功の要因や、それぞれに共通する特徴・パターンを洗い出すことで、自社がもつ独自の強みを見つける手がかりとなります。

顧客のフィードバックを得る

自社の強みを知る方法として、顧客のフィードバックを積極的に収集するのも有効です。

たとえば「お客さまの声」に関するインタビュー調査や、Web・書面などでのアンケート調査を実施すれば、自社に関わる顧客が、自社にどのような価値を見出しているかを把握することができます。

このほか、口コミサイトやSNSの投稿などをチェックし、顧客の声を集めていく方法もあります。

ただし、顧客は必ずしも本音を話すとは限らないため、顧客のフィードバックは、あくまでも強みを見つけるための一つの参考材料として役立てていくことが重要です。

競合他社と比較分析する

もうひとつ、競合他社との比較分析を行い、他社との差別化ポイントや、競合相手に対する優位性を見つけていく方法があります。

比較ポイントとしては、たとえば以下の点が考えられます。

  • 製品・サービスの特徴
  • 価格戦略
  • マーケティング戦略
  • 顧客評価やレビュー
  • 技術やイノベーション

自社が他社と比べてどのような強みを持っているかを把握することで、市場での独自性を確認できます。

自社の強みを採用サイト・採用コンテンツで活用するには

採用活動においては、自社の強みは求職者にきちんと伝わって、ようやく大きな効果を発揮します。

ここからは、せっかく見つけた自社の強みを、採用サイトをはじめとする各種採用コンテンツを作る際にどう活用していけばいいかを解説します。

企業文化や働き方の強み

企業文化や社内の雰囲気に優位性があると判断できた場合、「社風紹介」ページで、企業の価値観や信念、社内の雰囲気をわかりやすく伝えるとよいでしょう。

社員の声やインタビューを活用して、実際の働き方や社内の協力体制を具体的に示すのも効果的です。

福利厚生やワークライフバランスの強み

待遇や働きやすい環境を自社の強みとしてアピールできる場合、「福利厚生」関連のページで、各種手当や福利厚生制度、フレキシブルな働き方に関する情報を提示するとよいでしょう。

社員インタビューを通じて、ワークライフバランスの実態や制度の具体的な活用方法などを語ると、求職者は、よりリアルなイメージを抱きやすくなります。

成長機会やキャリア開発の強み

社員の成長機会が豊富であることが強みとなる場合、「キャリアパス」関連のページで、入社後の教育・研修体制、トレーニングプログラム、昇進やスキルアップの機会について詳しく説明するとよいでしょう。

さまざまな挑戦を続けていく過程やキャリアストーリーを発信して、先輩社員が実際にどのように成長し、活躍しているのかを具体的に示すと効果的です。

技術力やイノベーションの強み

高い技術力を自社の強みとしてアピールできる場合、企業の最新技術や、イノベーションの要素が強いプロジェクトに焦点を当てたコンテンツを発信するとよいでしょう。

開発チームやプロジェクトの成功例・ストーリー(例:開発秘話など)を紹介し、技術的な魅力を強調することで、自社の優位性をアピールできます。

社会的な貢献やCSRの強み

社会的な貢献活動に力を入れている場合、「社会貢献活動」に関するページやコンテンツを用意し、自社が社会に対してどのように貢献しているかを詳細に説明するとよいでしょう。

社員が参加できるボランティア活動や取り組みを示し、企業の社会的な意義を伝えることで、求職者の信頼を高めることに役立ちます。

過去の実績や世間の評価などもあわせて掲載すると、より充実したコンテンツになります。

※以下の記事では、採用サイトを制作する手順やポイント・コンテンツについて詳しく解説しています。

自社の強みを効果的に表現している採用サイトの事例

ここでは、自社の強みについて、採用サイト上で効果的・明確に表現している事例を紹介します。

株式会社淺沼組

株式会社淺沼組は、大阪府大阪市に本社を置き、建築工事・土木工事の施工を手掛ける総合建設会社(ゼネコン)です。

同社の採用サイトでは、自社の特徴・強みについて、「信頼」「伝統」「技術力」「人」の4要素に分けて紹介。

各要素について、具体的な取り組み内容や実績、制度などまで丁寧に説明することで、強みの説得力が増しています。

このほか、会社のカルチャーや働く環境についても、自社ならではの特徴を十分に発信。

現場で活躍する社員の声を多く届けることで、企業のリアルな雰囲気が伝わりやすいコンテンツになっているといえるでしょう。

株式会社ほねごり

株式会社ほねごりは、神奈川県相模原市に本社を構え、「ほねごりグループ」として多数の鍼灸整骨院と整形外科クリニックを運営する会社です。

同社の採用サイトは、ユーモアあふれるイラストや、インパクトのあるキャッチコピーをふんだんに含み、視覚的に理解しやすいつくりになっています。

自社の強みについては「選ばれる理由」や「数字で見る」ページを通じて、企業としての成長スピードの速さや、独自の研修育成制度、若くしてキャリアアップできる仕組みなどを紹介。

とくに伝えたいポイントをしっかりと洗い出したうえで、より印象的に伝わるような工夫がなされています。

株式会社キャピタル・アセット・プランニング

株式会社キャピタル・アセット・プランニングは、金融工学に関する専門性を生かした、アプリケーションシステムの企画・設計・開発を手掛けている会社です。

採用サイトでは「会社を知る」ページにおいて、自社の事業の優位性や取引実績、高度で先進的な技術力などを伝えています。

もう1点、特徴的なのが「CAPの裏話」コンテンツ。

ここでは、自社の事業や人に関するさまざまな疑問と回答をQ&A形式で紹介し、求職者が親しみやすい形で、企業の強み・魅力に触れることができるものとなっています。

TDK株式会社

TDK株式会社は、家電や自動車、産業機器といった、さまざまな電子機器に使われる部品の開発・製造を行うメーカーです。

採用サイトの「TDKの強み」ページでは、自社で扱う製品や技術がどのように生かされているのかや、新技術開発に向けた取り組みなどを、数字も見せながら強く訴求しています。

また、グローバル展開についての話題は、世界地図のイラストを使って一目でわかるように表現。

業績についてはグラフや表を載せることにより、売上高の伸び具合が直感的に理解しやすくなっています。

同社のように、一般の求職者にとってはあまり馴染みのない業界・事業分野を手掛ける企業こそ、自社の強みを具体的に、わかりやすく伝える工夫が大切であることがわかります。

国際自動車株式会社

国際自動車株式会社は、創業から100年以上の歴史を誇り、タクシーサービスを中心とした運送業を展開する企業です。

同社の新卒採用サイトは、自社のビジネスの強み・魅力をわかりやすく伝えるコンテンツが充実しています。

たとえば「会長メッセージ」ページでは、長年の歴史の中で培ってきた自社独自のビジネスと、今もなお新たな挑戦を続ける企業の姿勢を、一人称のインタビュー形式でたっぷりと語っています。

また、「アンケートで知る、kmのリアル」では、社員の声を集めたうえでグラフなどの視覚表現も取り入れ、さまざまな視点から自社の強みを発信

社員一人ひとりを大切にし、働きやすい環境づくりに注力する企業の強みを積極的にアピールしています。

まと

採用活動を円滑に進め、より大きな成果を出すためには「自社の強み」を明らかにすることが欠かせません。

自社の特徴や魅力を明確にすれば、採用ブランディングの確率によって採用ミスマッチを防ぐ効果があるばかりでなく、既存社員にとってもポジティブな影響を与えることができます。

そして、せっかく見つけた自社の強みは効果的にPRすることが重要です。

採用サイトなどのコンテンツには、「強み」を裏付ける説明を丁寧に、わかりやすく掲載しましょう。

その際には、自社の一方的な視点ではなく、求職者目線を大切にし、求職者の企業理解や関心が高まるような情報提供を心がけてください。

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