求職者が就職・転職活動中に最も知りたいと考える情報のひとつが、その企業での実際の働き方や詳しい業務内容です。
本記事では、社員が働く様子・仕事の流れをわかりやすく伝えるのに適したコンテンツ「1日のスケジュール」について解説しています。
採用サイトで「1日のスケジュール」を公開するメリットや、魅力的なコンテンツをつくるポイント・作成時の注意点などもあわせて紹介するので、ぜひお役立てください。
採用サイトの「1日のスケジュール」とは
採用サイトに掲載する「1日のスケジュール」とは、社員の勤務スケジュールや1日の仕事の流れを、タイムスケジュール形式などで紹介するコンテンツを指しています。
社員の就業日の主な活動内容を時刻とともに示すことで、企業の日常業務や社内の雰囲気をリアルに伝えるために作成されるコンテンツです。
「1日の仕事の流れ」や「先輩社員の1日」といった名称で公開している企業もあります。
1日のスケジュールをつくるメリット・必要な理由
採用サイトで「1日のスケジュール」コンテンツを公開するメリットや、なぜこのコンテンツが必要なのかを説明します。
働き方や業務内容を具体的に伝えることができる
求職者の多くは、企業の働く環境や日々の業務内容について詳しく知りたいと考えています。
そのような求職者のニーズに効果的に応える手段となるのが「1日のスケジュール」コンテンツです。
求職者にとっては、募集要項に記載された仕事内容を読むだけでは、なかなか自身がその場で働くイメージがわかない場合もあるでしょう。
その点、「1日のスケジュール」では日々の業務の流れを詳細に示すことができるため、実際に働く環境の雰囲気や仕事の進め方、社内の様子などが明確に伝わりやすくなります。
求職者の企業に対する関心を高めたり、仕事理解を深めてもらったりするうえで非常に効果的なコンテンツです。
採用ミスマッチを防ぎやすくなる
「1日のスケジュール」を通じて社員の働き方・仕事の流れに関する具体的な情報を提供することで、求職者は、自身が希望する働き方や価値観と企業とのマッチングを判断しやすくなります。
それにより、企業にとっては自社に合う適切な人材からの応募が増えるメリットが得られます。
採用ミスマッチを防ぎ、より意欲的な人材を採用する機会を増やす目的としても、「1日のスケジュール」コンテンツが役に立ちます。
1日のスケジュールを魅力的につくるポイント
採用サイトの「1日のスケジュール」コンテンツの作成手順と、魅力的につくるためのポイントを説明します。
作成手順
最初に、「1日のスケジュール」では何を伝えたいか、求職者にどのような印象を与えたいかを明確にしておきましょう。
なお、本コンテンツは募集職種別に作成するのが望ましいです。
各募集職種の採用ターゲットや求める人物像をあらためて明らかにし、何を伝えるべきかを考えておくと、この後のステップがスムーズに進みやすくなります。
「1日のスケジュール」をつくる際には、実際に現場で活躍している社員を選定し、モデルとして業務の流れを紹介する形が一般的です。
できれば、社員には実名で顔を出してもらうと伝わりやすいコンテンツになりますが、どうしても難しい場合、架空の人物設定でコンテンツを作成することも可能です。
採用ターゲットと各社員の入社年次や経験、役割などを考慮し、どの社員をモデルとするのがよいかを決めていきましょう。
対象となる社員に、実際の1日の流れをヒアリングします。
始業から終業までのスケジュールを把握し、業務内容については具体的にどんな行動をしているのかを確認します。
また、会議やミーティング、昼食といった日常的なイベントについても積極的に入れ込みましょう。
時系列に沿って、時間ごとのイベントと説明テキストを作成していきます。
社員のプロフィール画像や社内での様子(ミーティング風景、他社員とコミュニケーションをとる姿など)を撮影したカットもできる限り入れ込むと、より具体的で伝わりやすいコンテンツになります。
ポイント
複数の職種・役割をもった社員のスケジュールをつくる
「1日のスケジュール」コンテンツは、募集職種別につくるほか、若手と中堅、新人とマネージャーといった成長段階・役割別でも作成すると、より多角的に自社の働き方や雰囲気を伝えやすくなります。
なお、同じ部署であっても、すべての社員が毎日まったく同じスケジュールに従っているわけではありません。
個々の役割や状況によりスケジュールは異なることを前提としながら、実態と乖離がなく、違和感のない「1日のスケジュール」を作っていきましょう。
業務以外の話題も盛り込む
「1日のスケジュール」では、各職種の仕事の流れや詳しい業務内容を紹介することはもちろんですが、社内の人間関係や雰囲気を伝えることも意識しながら作成するとよいでしょう。
また、業務時間外やオフの日の過ごし方まで盛り込むと、社員がイキイキと毎日を過ごす様子や、ワークライフバランスにも配慮している企業であることが伝わりやすくなります。
1日のスケジュールをつくるときの注意点・よくある失敗
ここでは「1日のスケジュール」をつくる際に気をつけたい点を紹介します。
より効果の出やすい魅力的なコンテンツにするために、以下の点に気をつけながら作成を進めてください。
抽象的な話ばかりにならないようにする
「1日のスケジュール」では、ただ時間と出来事・イベント名だけを記載しても、求職者には伝わりづらく、リアルなイメージがわかないものになってしまいます。
さまざまな出来事の裏にあるストーリーや仕事のやりがい・苦労、社員の感情にも触れながら、なるべく具体的に説明するようにしてください。
ただし、業務の専門的で細かすぎる情報や、個人のプライベートに踏み込み過ぎた話題を入れ込まないように注意しましょう。
業務スケジュールの変動や例外事項に留意する
職種によっては、特定の季節や状況によって業務スケジュールが大きく変動することもあるでしょう。
それを適切に伝えないと求職者の誤解を招き、採用後・入社後のトラブルやミスマッチにつながってしまうおそれがあります。
そのため、「1日のスケジュール」を作成する際には、業務スケジュールの変動や例外パターンについても考慮しながら慎重に作成してください。
明確なパターン化が難しい職種・状況では、ある程度の柔軟性をもって記載しておくのもおすすめです。
1日のスケジュールコンテンツの参考事例
ここからは、「1日のスケジュール」コンテンツを公開している採用サイトの中から、とくに参考になる事例を紹介します。
日本紙パルプ商事株式会社
日本紙パルプ商事株式会社は、1845年に創業した、「紙」を専門に取り扱う商社です。
世界22ヵ国へ進出しており、グループ従業員数は約4,300名(※2023年3月31日現在)と、事業規模が大きな同社。
採用サイトでは、営業系部門と管理系部門で活躍する、総勢15名以上の社員の日常を紹介しています。
多様な職種・役割を持つ社員の業務内容・1日の流れを紹介することで、会社の多様性やキャリアの可能性の大きさを示すコンテンツとなっているといえるでしょう。
株式会社ロッテ
株式会社ロッテは、菓子やアイスクリーム、健康食品などを製造・販売するメーカーです。
同社の採用サイト「ONE DAY 社員の1日」コンテンツでは、ピックアップした社員の1日に寄り添って、詳細なスケジュールを公開しています。
仕事内容・やりがい、職場環境などに関する充実したインタビュー記事のほか、1日密着ムービーもあわせて掲載。
動画のショートバージョンは誰でも自由に閲覧でき、フルバージョンは求職者がマイページ登録すると見られるように構築されています。
明るい雰囲気で、求職者のワクワク感を膨らませるようなサイトです。
東日本電信電話株式会社
東日本電信電話株式会社は、通称「NTT東日本」で知られている電機通信会社です。
同社の採用サイトの特徴は、大手企業ならではの多岐にわたる事業領域や、多種多様な職種の社員の活躍ぶりを詳しく紹介していること。
社員インタビューのコンテンツでは、各部門の現場で活躍する若手社員から中堅社員、マネージャーまで、多くの社員が登場しています。
社員の1日紹介コンテンツにおいても、各社員のリアルな業務内容をはじめ、社内でのコミュニケーションの様子、働く環境などを丁寧に紹介。
求職者がそこで実際に働き、成長していくイメージを強めるうえで役立つ同社のコンテンツは、大手企業ならずとも参考になる点があるでしょう。
株式会社ナプラ
株式会社ナプラは、ヘア化粧品の製造販売業を専門的に手掛ける企業です。
同社の中途採用サイトでは、主な募集職種である「営業職」に関する詳しい仕事内容を紹介しています。
営業の1週間の流れに密着したコンテンツでは、計5日間にわたり、1日ごとの業務内容を説明。
日々の業務内容のほか、仕事の魅力や働き方の特徴などを多角的に伝えるコンテンツとなっています。
週単位で業務が動くような職種の場合は、このように1週間の動きを紹介するのもよいでしょう。
ジブラルタ生命保険株式会社
ジブラルタ生命保険株式会社、世界最大級の金融サービス機関、プルデンシャル・ファイナンシャルグループに属する外資系の生命保険会社です。
同社の「MRキャリア採用サイト」では、MR(代理店コンサルティング職)の1日について、「若手社員」「中堅社員」「管理職」それぞれをピックアップして紹介。
大まかな1日の動きについては図を用いて視覚的に表現しているほか、若手・中堅・管理職それぞれの関係性が見えやすいように伝えていることが特徴的です。
さらに、詳しい1日の動きはタイムスケジュール形式で表現。シンプルかつ、直感的に理解しやすいコンテンツとなっています。
サングローブ株式会社
サングローブ株式会社は、Webサイトの企画・制作をはじめとするクリエイティブ、およびWebマーケティング事業などを手掛けている会社です。
採用サイトの「TIME TABEL」コンテンツでは、営業やマーケティング、デザイナー、さらには営業部長や人事部など、異なるポジション・役割を持つ複数の社員に密着。
時間ごとの業務内容を非常に詳しく説明しているため、各職種の仕事内容をよりリアルに想像することができます。
また、社員の個性や人柄も積極的に伝えており、求職者が企業の雰囲気を掴むうえでも役立つコンテンツといえます。
密度の濃い情報を伝えたいと考えている企業は、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
「1日のスケジュール」を採用サイトに掲載することで、企業の仕事の実態や社内の雰囲気などを、求職者により詳しく伝えることができます。
このコンテンツを作成する際には、自社の採用ターゲットやコンテンツの目的を明確にしたうえで、適した社員を選定し、ヒアリングやコンテンツ作成をしていきましょう。
社員のプライバシーや柔軟性を考慮しながらも、できる限り具体的でリアルな情報を提供することが重要です。