採用サイトでは、求職者に向けて、自社の価値観や目指す方向、求める人物像などを、できるだけ具体的かつ魅力的に伝えていくことが重要です。
本記事では、求職者の企業に対する印象づけに役立つ重要コンテンツ「代表メッセージ・トップメッセージ」のつくり方を紹介します。
コンテンツ作成の手順や魅力的につくるためのポイント・注意点もあわせて解説するので、サイト作成時の参考にしてください。
採用サイトの「代表メッセージ・トップメッセージ」とは
採用サイトの「代表メッセージ・トップメッセージ」とは、採用サイト上で、企業の代表やトップが求職者に向けたメッセージを発信するコンテンツを指しています。
一般的に、代表メッセージ・トップメッセージには以下のような内容を含みます。
- 企業の理念・価値観
- 社会の中での役割
- ビジョンと将来性
- 組織づくりや社員に対する思い
- 求める人物像・候補者に対する期待
このような内容についてトップ自らが企業の方針・考え方を求職者に向けて発信することにより、求職者とのつながりや関係性の強化を目指します。
代表メッセージ・トップメッセージを公開するメリット・必要な理由
採用サイトで代表メッセージ・トップメッセージを公開する大きな利点は、企業のビジョンや価値観を求職者に力強く、印象的に伝えられることです。
代表者が自らの言葉でメッセージを発信することによって、求職者は企業の方針をより深く理解し、自身がその企業に合うかどうかを判断しやすくなります。
また、企業の個性や文化を存分にアピールすることは、より自社に適した人材を引き寄せやすくなることにもつながります。
つまり、採用ミスマッチを軽減するとともに、採用確度を高める効果も期待できるのです。
代表者のメッセージは、採用サイトの多様なコンテンツの中でも、とくに求職者の共感を集めやすい要素です。
目的を持って丁寧に作成することで、企業のブランドイメージ向上や、優れた人材を採用する可能性を高めるといったメリットが得られます。
代表メッセージ・トップメッセージを魅力的につくるポイント
このセクションでは、採用サイトにおける代表メッセージ・トップメッセージの作成手順を紹介します。
求職者に思いが強く伝わるコンテンツにするためのポイントもあわせて説明します。
作成手順
最初に、自社の採用サイトにおける、代表メッセージ・トップメッセージの目的を明確にしておきましょう。
採用ターゲットとなる求職者に向けて、どのようなメッセージを強く伝えたいのかをイメージしておきます。
代表メッセージやトップメッセージは、代表やトップとのインタビューや対話から得られた情報をもとに、採用担当者や専門のライターが文章にまとめることが多いです。
インタビューや対話の前には、コンテンツの目的に沿って大まかなインタビュー項目・内容を洗い出しておき、その内容を代表・トップにも共有しておくとよいでしょう。
インタビューの場では、代表・トップが自身の言葉で企業のビジョンや思いを率直に表現することで、読み手の共感を呼ぶメッセージをつくりやすくなります。
得られた情報をもとに、コンテンツ(メッセージ)を作成していきましょう。
このプロセスでは、代表者の言葉や考え方をできるだけ正確に伝えつつ、自社のブランドイメージや価値観に合うトーンやスタイルで表現することが重要です。
コンテンツがひと通りできたら、担当者間で内容に問題ないかを確認するとともに、代表・トップのチェックを受けましょう。
密なコミュニケーションを通じて、メッセージが企業のビジョンや方針を忠実に反映するように調整しながら完成させます。
ポイント
代表・トップの表情や姿を見せる
代表メッセージ・トップメッセージは、テキストのみで表現するよりも、代表本人の写真を併載して姿を見せるほうが、誠実で強い印象を与えやすくなります。
プロフィール用のカッチリとした姿のほか、求職者に語り掛けるような自然なインタビューカットや、にこやかでカジュアルな表情を見せるのもよいでしょう。
伝えたい印象に応じて写真選定にもこだわると、より効果的なコンテンツになります。
わかりやすい言葉で伝える
求職者に向けたメッセージは、専門用語や冷たい表現ではなく、オープンで親しみやすい表現を心がけるのが好ましいです。
自然な言葉遣いで、学生や、社会人経験が浅い求職者にも理解できるように伝えることがポイントです。
代表メッセージ・トップメッセージをつくるときの注意点
採用サイトで代表メッセージ・トップメッセージをつくる際に、注意したいポイントを説明します。
一人でも多くの求職者に魅力を伝えるコンテンツにするためにも、以下の点に気をつけて作成してください。
代表の思いや熱量がきちんと伝わるようにする
代表メッセージ・トップメッセージをつくる際には、企業トップの思いが求職者にできるだけ強く、しっかりと伝わるように心がけてください。
このコンテンツは、文章を整えようとするあまり、なんとなく抽象的でぼんやりとした印象のものになってしまうことが多々あります。
しかし、いくらきれいにまとまっていても、求職者が代表の熱量を感じられるまでには至らない内容では、せっかくのコンテンツの効果が薄れてしまいます。
とくに中小企業では代表と社員の距離感が近くなりやすく、実際に、代表の考え方やビジョンに魅力を感じて入社を決める求職者もいるほどです。
一つひとつのメッセージに思いを込めて、求職者の心に響く、血の通った文章を考えていきましょう。
求職者が希望を持てる前向きな内容にする
代表メッセージ・トップメッセージは、企業トップ自らが、求職者に自社の魅力を伝えるためのコンテンツでもあります。
企業としては大きな困難や課題に直面する時期もあるかもしれませんが、このコンテンツではあくまでも前向きに、挑戦する姿勢や未来に向かっている様子を伝えることが重要です。
そして、求職者がその企業に入社すると、どんな風に活躍でき、どのように成長していけるのかを具体的にイメージできる文章にまとめてください。
求職者がこのコンテンツに触れた際に、心からワクワクできるかどうかを想像しながら作成していきましょう。
代表メッセージ・トップメッセージコンテンツの参考事例
ここからは、「代表メッセージ・トップメッセージ」コンテンツを公開している採用サイトの中から、とくに参考になる事例を紹介します。
株式会社鳥貴族ホールディングス
株式会社鳥貴族ホールディングスは、居酒屋チェーン「鳥貴族」を中心とした外食産業を展開する企業です。
同社の採用サイトでは、「理念について」ページ内で代表メッセージを掲載。
自社の理念や価値観、事業の目的を印象的なキャッチコピーで表現するとともに、求職者に向けた、代表の率直な思いを伝えています。
一貫したメッセージを発信することにより、企業のミッションや目指す未来がしっかりと伝わりやすいコンテンツとなっています。
日隆運輸株式会社
日隆運輸株式会社は、1947年に創業し、HEグループ4社で運送業を展開する企業です。
同社の採用サイトにおける「代表メッセージ」コンテンツの特徴は、社長のストーリーがしっかりと語られていること。
親族の会社を引き継いで、現在はグループ2社のトップとなった社長が、過去にどのような経験・思いを持って過ごしてきたのかや、社長になってからの苦労・やりがい、組織づくりや人材に対する思いなどを率直に語っています。
ストーリー性を重視する代表メッセージコンテンツの表現方法のひとつとして、参考になる事例といえるでしょう。
株式会社WOWOW
株式会社WOWOWは、ドラマや映画、スポーツ中継などの動画コンテンツを配信する民放衛星放送局です。
採用サイトの「社長メッセージ」コンテンツでは、冒頭にて代表のプロフィールを端的に紹介。
本文では、自社をとりまく業界の変化や企業としての立ち位置、そして目指す未来などについて、代表自らが具体的に語っています。
自社の情報を丁寧に紹介したうえで自社が求めている人物像を伝えることにより、求職者への期待感が、より強く伝わりやすいコンテンツとなっているといます。
サントリーホールディングス株式会社
サントリーホールディングス株式会社は、1899年に創業し、飲料・食料事業を展開するサントリーグループ全体の経営戦略の策定・推進等を手掛ける企業です。
採用サイトの「トップメッセージ」コンテンツでは、代表取締役社長のメッセージを90秒ほどの動画で公開。
最近では、事業紹介や社員紹介などを目的として、採用活動に動画を活用する企業が増えていますが、社長の「人となり」や「雰囲気」を伝えるうえでも動画は効果的です。
株式会社Colorkrew
株式会社Colorkrewは、ITを活用し、企業の業務効率化などにつながるサービスを企画・開発する会社です。
採用サイトの「代表挨拶」コンテンツでは、代表のメッセージを「求職者全体むけ」と「新卒むけ」に分けて掲載。
中途(キャリア)採用・新卒採用の両方を積極的に行っていく中で、それぞれの立場の求職者に響くメッセージを伝えるための工夫が見えるコンテンツとなっています。
株式会社シェア
株式会社シェアは2007年に創業し、大阪府大阪市に本社を構え、WEBコンサルティングおよびメディアコンテンツ事業を展開する企業です。
採用サイトの「代表メッセージ」コンテンツでは、主に求める人物像や、新たに仲間になる人材に対する期待を代表自らが語っています。
なかでも特徴的なのは、「代表に質問」コーナーを設置していること。「仕事で大切なことは?」「成果を出した社員をどう評価する?」など、9つの質問に代表が答える形で作成しています。
代表の人柄や考え方を伝えるうえで、参考になるコンテンツ事例といえるでしょう。
株式会社 小野組
株式会社小野組は、1888年に創業し、新潟県胎内市に本社を構える歴史ある建設会社です。
採用サイトの「トップメッセージ」では、「会社とは人間が成長し学ぶ場である。」をモットーし、教育に注力する社長の理念を存分に伝えています。
メッセージ本文では、建設業とは何か、地域にとってどのような役割を果たす会社なのか、そして共に働きたい人材とはどのような人かを詳しく発信。
さらに「社長の成長HISTORY」として、社長自身が学び続ける姿も紹介しています。
この企業ならではの、独自性のあるトップメッセージコンテンツになっています。
まとめ
採用サイトの「代表メッセージ・トップメッセージ」は、企業トップ自らが、求職者に向けて企業の方針や考え方、価値観などを語りかけるコンテンツです。
求職者の企業に対する印象を強め、より適した人材からの応募を促す重要コンテンツのひとつとなっています。
採用ブランディングの効果も期待できるため、採用サイト制作の際にはぜひ取り入れることをおすすめします。
本記事で紹介したポイントや注意点を参考にし、より魅力的で効果の出やすいコンテンツづくりを行ってください。