採用サイトに掲載する多様な情報のなかでも、自社のリアルな社風・働き方を求職者に伝えるのに効果的なコンテンツが「クロストーク・座談会」です。
本記事では、採用サイトで「クロストーク・座談会」コンテンツをつくるメリットと、実際の作成手順・気をつけたいポイントを解説しています。
「求職者に自社の魅力をより強く伝えたい」「企業風土をきちんと理解してもらいたい」と考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
採用サイトの「クロストーク・座談会」とは
採用サイトの「クロストーク・座談会」とは、企業内の若手・中堅社員同士の語らいや、社員とリーダー層・経営者などとの対話を紹介するコンテンツを指します。
社内の雰囲気や働き方、企業文化などを生の声で伝える手法として用いられます。
一般的に、「クロストーク」と「座談会」は、それぞれ以下の意味を持ちます。
「クロストーク」は、直訳すると「交差する対話」や「対話の交差」を意味します。
企業の社員らが、異なる立場やバックグラウンドからの視点を持ち対話する場面を指します。
「座談会」は、参加者が座って対話する形式のイベントやコンテンツを意味します。
複数のメンバーが一堂に会し、特定のテーマについて座って対話する様子を取り上げるスタイルです。
厳密には、「クロストーク」はより広い範囲の意見や経験が共有される場面を指し、「座談会」は座りながら行われる対話や討論の形式を指します。
ただし、実際にはほとんど同じ意味で使われることも多いです。
採用サイトに掲載するためのクロストーク・座談会の場では、企画をもとに集まった複数の参加者らが、設定されたテーマに沿って自分の経験や実際のエピソードについて話を進めます。
そこで得られた情報をもとに、テキストや写真などを交えてコンテンツを作成し、求職者に自社の社風や働き方といったリアルな姿を伝えます。
クロストーク・座談会コンテンツをつくるメリット・必要な理由
採用サイトでクロストーク・座談会コンテンツをつくることには、以下のようなメリットがあります。
- リアルな情報が提供できる
- 企業の個性や多様性・魅力を伝えやすい
採用サイトに社内のメンバー同士が対話する様子を掲載することで、企業の雰囲気や文化がよりリアルに伝わります。
これにより、求職者は仕事環境や社内の雰囲気を具体的に理解できます。
また、異なる立場やバックグラウンドの社員が対話する場面を提示することで、企業の多様性が強調されます。
社員の個性や豊かなキャリアパスが浮かびやすく、企業の温かみや人となり・魅力を伝えやすいこともメリットです。
採用情報はどうしても堅苦しいものになってしまいがちな中で、座談会・クロストークは「親しみやすさ」を演出するうえでも効果的なコンテンツです。
クロストーク・座談会コンテンツを魅力的につくるポイント
採用サイトにおけるクロストーク・座談会コンテンツの作成手順と、魅力的につくるポイントを説明します。
作成手順
まずは、このコンテンツで何を伝えたいのかを明確にして、対話の中心となるテーマを選定します。
企業文化・働き方・仕事を通じた成長など、求職者が知りたいと考えるトピックが適しています。
テーマに沿って、クロストーク・座談会の参加者を選びましょう。
できるだけ異なる視点や経験を持つメンバーに参加してもらうことで、より深みのある対話が生まれます。
事前に、クロストーク・座談当日の対話の流れや、尋ねる質問を決めたスクリプトを作成しておきます。
ただし、自然体での対話を心がけ、過度に台本っぽくならないようにします。
クロストークや座談会は、オンラインまたはリアルの場で実施します。
当日は必ず進行役や司会者を置いて円滑な進行に努め、テーマから話がズレている場合などは適宜フォローや軌道修正を行いましょう。
音声・写真・動画など収録した素材をもとに、サイトに掲載するクロストーク・座談会コンテンツを作成します。
なお、複数人による対話では、話が前後したり繰り返したりすることが多いです。
そのため、コンテンツ作成時には自然な流れとなる構成を考え、不必要な話題はカットするなどして、求職者がスッと理解できるようにまとめていく必要があります。
ポイント
クロストーク・座談会の当日は、適度なリラックス感と自然な対話を重視しましょう。
テーマから大きく逸れないようにすることは大事ですが、できるだけ本音・率直な思いを語ってもらうことで、求職者にとって魅力的で興味深い情報を引き出すようにします。
クロストーク・座談会コンテンツをつくるときの注意点
クロストーク・座談会コンテンツの作成にあたって最も大事なことは、求職者に何を伝えたいのかという「目的」を明確にし、具体的な企画を立てていくことです。
目的が曖昧なまま、なんとなくメンバーを集めて対話をしても、求職者の満足度アップや企業理解につながるコンテンツをつくるのは難しいでしょう。
ここでは一例として、よくあるクロストーク・座談会コンテンツの目的と、それぞれに合う進め方を挙げます。
女性の活躍推進・多様性を伝えたい場合
女性の活躍をアピールしたい場合には、若手や中堅などの女性社員のみを集めて、女性にとっての働きやすさや産休・育休制度の利用実態、ワークライフバランスなどについて語ってもらいます。
グローバル企業や、さらに広い視野で多様性を強調したい場合は、海外勤務経験のある社員や外国籍の社員によるクロストーク・座談会を実施するのもよいでしょう。
たとえば、入社のきっかけや異なる国籍の社員とのコミュニケーション、価値観の違いをどう乗り越えているかなどについて語ってもらうと、求職者が求める情報を届けやすくなります。
求職者への期待やメッセージを伝えたい場合
自社の採用活動にかける思いや、求職者への期待・メッセージを伝えたい場合、採用担当者同士で対話を行い、それをコンテンツとして表現する方法があります。
客観的な採用メッセージを掲載する形と比べ、対話形式で思いを伝えることで、より率直で温かみのあるメッセージや期待感を伝えやすくなります。
また、求職者に近い立場で入社後の働き方・仕事の実態を伝えるには、新入社員と育成担当者が語り合い、現実的に仕事で直面している課題や困難も含めた、現在進行形の成長ストーリーとしてまとめていくのもおすすめです。
社風・経営者との距離の近さを伝えたい場合
自社の社風や働く環境に関する魅力をアピールするには、比較的立場の近い社員同士で、気兼ねなく率直に意見を交わし合う様子を伝えるのが効果的です。
役職・ポジションに関係なく企業全体としての風通しのよさや、上司や経営層との距離の近さをアピールためには、社長と若手・中堅社員、あるいは上司と部下によるクロストーク・座談会を組むのもよいでしょう。
クロストーク・座談会コンテンツの参考事例
ここからは、「クロストーク・座談会」コンテンツを公開している採用サイトの中から、とくに参考になる事例を紹介します。
大陽日酸株式会社
大陽日酸株式会社は、あらゆる産業に欠かせない「産業ガス」の供給を中心に、グローバルに事業を展開するメーカーです。
同社の採用サイトでは、現在活躍している社員の人柄や働き方を紹介するコンテンツを充実させていることが特徴的。
「社員座談会」コンテンツも手厚く作られており、「営業系社員」「エンジニア系社員」「研究開発系社員」「女性社員」「キャリア入社社員」の全5つの座談会コンテンツ(ページ)を掲載しています。
各ページはテキストだけにならないよう、写真や吹き出しも使って見やすく表現。
座談会のテーマ設定や話の流れのつくり方など、多くの企業にとって参考になる点が見つかるでしょう。
アクサ損害保険株式会社
アクサ損害保険株式会社は、世界最大級の保険・資産運用会社「アクサグループ」の一員として事業を展開する損害保険会社です。
同社の採用サイトでは、『「働く環境」座談会』として、所属部門や入社年次などが異なる4名の社員による座談会を実施。
同社が重視する「一人ひとりのキャリアビジョン」を実現するための制度や、働く環境を中心に語り合っています。
参加者には外国籍メンバーも含んでおり、自社のオープンな雰囲気や、ダイバーシティに関する取り組みと実態が、よりリアルに伝わりやすいコンテンツになっています。
雪印メグミルク株式会社
雪印メグミルク株式会社は、牛乳や乳製品、各種食品の製造・販売を手掛けているメーカーです。
同社の新卒採用サイトでは、活躍中の社員ではなく、内定者5名による座談会コンテンツを作成。
専攻分野が異なる内定者たちが、会社の好きなところや、仕事に対する意気込み、就活中の学生に向けたメッセージなどを語り合っています。
新卒採用を行う場合には、同社のように内定者を中心とした座談会コンテンツを企画し、求職者に近い目線で発信するのもよいでしょう。
株式会社ミルボン
株式会社ミルボンは、株式会社ミルボンは、1960年の創業以来、ヘア化粧品メーカーとして独自のものづくり・マーケティング戦略を展開している企業です。
同社の採用サイトでは、3種類のテーマによるクロストークコンテンツを展開しています。
- 同じ部門に所属する社員が仕事を語り合う「経営戦略部」
- 1つのプロジェクトについて別の専門職社員が語り合う「研究開発×商品企画」
- 若手社員と直属の上司による「上司×部下」
さまざまな角度からクロストークテーマを設定することにより、自社の多様な強み・魅力をうまく伝えているコンテンツといえるでしょう。
ギークス株式会社
ギークス株式会社は、2007年に創業し、ITフリーランス人材と企業のマッチング事業を軸に事業を展開する企業です。
同社の採用サイトでは「トークセッション」として座談会・クロストークコンテンツを公開しています。
トークセッションの数は6種類と多めで、新卒社員同士の語り合いから、各部門で活躍する中堅メンバーが集ったもの、そして地方拠点のリーダーによるセッションなど、ユニークなテーマで実施しています。
また、採用担当者2名によるセッションでは、求める人物像や、採用活動で大切にしている思いが語られています。
中身の濃い座談会・トークセッションを作成したいと考えている企業は、ぜひ参考にしてみてください。
日本アクセス
日本アクセスは、伊藤忠グループの総合食品卸売業として、食分野での物流サービスや商品開発、マーケティングなどの幅広い事業を展開しています。
採用サイトの「座談会・クロストーク」コンテンツでは、内定者3名が若手社員3名に向けて気になる質問をぶつけ、先輩が答える形でコンテンツを作成しています。
入社を決めた理由や仕事内容、会社の雰囲気などについて求職者に最も近い立場のメンバーが語り合うことで、企業の親しみやすさ・明るさが伝わるコンテンツとなっています。
もう1つの座談会テーマは、社員がつくった企業理念を浸透させる「社内横断プロジェクト」をテーマにしたもの。
入社年次や所属部門が異なる4名のプロジェクトメンバーが集い、魅力的な組織づくりのためにどう動いているかを語ることで、企業の風通しのよさやフラットな社風が伝わってきます。
穴吹興産株式会社
穴吹興産株式会社は、香川県高松市に本社を置き、不動産開発やマンション分譲をはじめ、総合的な不動産ソリューションを手掛けている会社です。
同社の新卒採用サイトの座談会コンテンツでは、「役員×若手社員」「マンションTeam」「同期メンバー」の3つのテーマによる座談会を公開しています。
なかでも同期メンバーの座談会は、現在は全国各地に配属されて、それぞれの地域で活躍する中堅社員3名がWebミーティングシステムを使って実施。
離れた場所でも共に成長できる同期の絆や、多様なキャリアパスの可能性などを伝えるコンテンツになっています。
オンライン座談会コンテンツのつくり方としても、参考になる部分があるでしょう。
まとめ
採用サイトにおける「クロスワーク・座談会」は、求職者に社員の本音や、自社のリアルな雰囲気を伝えるのに絶好のコンテンツです。
他コンテンツ以上に企業の個性や親しみやすさも伝えやすいため、サイト制作時には、ぜひ取り入れることをおすすめします。
なお、「クロスワーク・座談会」を充実したコンテンツにするためには、テーマや人選が重要になります。
本コンテンツを通じて何を伝えたいのかという目的を明確にしたうえで、求職者の心に訴えかけるコンテンツを作成してください。